NHK文化センターで私の英語講座を

受講生してくださっている皆さんには

「ネイティヴにならなくていい」と

お伝えしています。

 

英語の勉強は

それに尽きるからです。

というか、ネイティヴにはなれないからです。

 

仕事柄、たくさんのEnglish speakers に会いますが、

たまに「ガイジン」に

「なりきろうとしている」人に会います。

海外留学を終えて帰国したばかりの若い人に多い。

 

ペラペラ〜〜と喋るんだけど、

基本的な発音があちこちおかしいので、

よ〜〜く聞いていないと

何を言っているのかよくわからない。

 

英語を知らない人が聞くと、

見事な英語なんですけれど。

 

そういう人に限って

身振り手振りも交えて、

ルックス的にも

とっても「ネイティヴ風」なんですよね。

 

でも冷静に考えてみたら

どんなに長く勉強しても、

日本で日本の両親から生まれ、育った人は

「ネイティヴ」ではありません。

もちろんとても小さなうちに

海外で暮らせば違って来る可能性はありますが、

高校/大学で留学した人の多くは

なかなか壁が越えられないで

英語に「不得意感」を

持ち続けることが多いです。

 

私もそうでした。

 

私は小6から海外で暮らし始め、

日本人学校で中3までの義務教育を終えてから

アメリカンスクールを卒業しました。

日本の高校には1日も通っていないので、

かなり上手になってもおかしくない。

日本に戻って間もなく

英検一級(優良賞)も取りましたし。

でも英語を喋る時の違和感は

何十年も抜けず、

最近ようやく少し抜けてきたところです。

 

そりゃあそうです。

生まれてからずーっと

英語ばっかり喋ってきた人の「英語量」と

私が高校で学んだ「英語量」は

比べ物になりません。

おまけに英語を勉強して覚えた人は

テキストに書いてあることを中心に学ぶわけで、

例えばお母さんから(英語で)叱られたり、

子供同士で追いかけっこしたり、

お父さんとキャッチボールをしたり、

というような、「日常の英語」を

学ばないまま

高度な、英検一級レヴェルの

ひょっとすると

ネイティヴでも知らないような

時事英語を学んだりします。

 

でも、再度言いますが、

この日本語の文章を

スラスラと読んでいるあなたは

ネイティヴになれるはずがありません。

カッコつけても、絶対にばれます。

 

だから得意げにあなたが

ネイティヴのふりをして

ベラペラまくし立てても、

わかる人にはわかる。

あ、ハイスクール英語だ、って。

 

だから開き直ることをお勧めします。

 

ネイティヴに憧れ、真似するのではなく、

発想を変えましょう。

日本できちんと何年も勉強してきた英語です。

喋るのが少々下手でどこがいけないのでしょう?

文法ならネイティヴより知っていますよ。

きちんと真面目に勉強してきた英語です。

外国人の多くが生活の中で、

いつの間にか学んだ言語ではないのです。

 

涙ぐましい努力の結果なんです。

日本人の英語って。

 

最近は東南アジアの人も

結構流暢に喋りますよね。

そういう人の多くは親がお金持ちで

小さいうちから英語で教える幼稚園や小学校で

家庭では母国語、学校では英語で育っています。

根本的に日本人とは条件が違うのです。

 

少々発音が悪くても、

訥々(とつとつ)とでも、

丁寧に真摯に、ゆっくりはっきり喋れば

周りの外国人はわかってくれますよ。

 

もちろん、

発音は「正しい」にこしたことはない。

RとLを間違えたり、PとVが曖昧だったり、

MとNが同じようになってしまうのは

世界広しといえど、日本人くらいです。

だからなるべく発音の間違いは

プロに聞いてもらって、修正しましょう。

 

英語っぽい、べらんめいな?発音で

ごまかす人もいますが

L と R がごっちゃになっている人は

余計に分かりにくくなります。

 

私は仕事柄、ネイティヴと

英語で議論しなくてはならないことがあります。

スピードでは絶対に勝てない。

だから悔し紛れに言います。

「You know, I'm fluent in Japanese! 

日本語なら流暢なんだけれど」って。

 

その上で落ち着いて

頭の中でゆっくり英語の文章を組み立てて、

論破を試みます(笑)。

 

You know, や OK や

I mean, をやたら挟んだり、

ジェスチャーでごまかしても

英語のレベルはすぐにバレますから

姑息な手段は使わないようにします。

 

英語を学び始めて半世紀。

私はネイティヴじゃないし、

今更ネイティヴにはなれません。

ネイティヴになる必要もない。

日本人としてのインテリジェンスと

decent さと、

勤勉さを示すことができたら

それで十分なんです。

 

今日からあなたも堂々と

飾らない英語でお話ししませんか。

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