NHK国際放送の創世記とも言える時代に

画面のデザインやデコレーションを担当してくれた

「アートの福山さん」こと福山智久さんが

癌で亡くなってしまいました。

まだ53歳。私より6つも若いのです。

 

うちにはまもなく90になる舅もいて、

もう3回も危なかったのに

皮肉にもケロリと回復しているのにね。

神様はどこまで理不尽なのかな、と思ってしまう。

 

福山さんはちょっと太めで毛深くて

いわゆる熊さんタイプでした。

いつも静かで、ど〜んとしていて、

若い人たちがとっても慕っていました。

 

私が担当してた番組の演出も

してくれていたけれど、

私よりずっと年下でありながら

彼は「アートの親分」的な、

棟梁というか、現場監督というか、

直接一緒に仕事をするというよりは

完全におまかせしていた感じでした。

とてもセンスの良い人でした。

 

福山さんは国際放送の立ち上げの仕事の後は

いわゆる地上波に戻られたので、

実は去年までのざっと10年、

全く会っていませんでした。

ところがある日、ツイッターか何かで、

福山さんが体調が

悪いようなことを呟いていたのに気づき、

どうしたんですか?と久々に声をかけたのです。

 

すると福山さんは

大腸癌が見つかったこと、

近く手術すること、などを教えてくれました。

その病院が偶然にも、12年前に

夫が胃がんの手術を執刀していただいた医師が

院長となっている病院だったのです。

 

早速院長先生に、仕事場の元同僚が

大腸癌でお世話になっていると伝えたところ、

なんと、病室の福山さんのところに

顔を出してくれたそうです。

「優しそうな人だった」と

福山さんも喜んでくれて、

病院長がわざわざ来てくれたことに

お母様がとても安心されたと

あとで聞きました。

 

ところが6月になって、

仕事も続けながら治療を受けていた

福山さんが

お腹がパンパンに膨れて体調を崩し、

病院に押しかけるように

再入院したことを知らされました。

 

年明けにステージ4と

宣告されたのは聞いていましたが、

ちょっと信じられなかった。

あまりにも展開が早すぎたからです。

余命が2〜3ヶ月と聞いたこと、

これ以上の手術などが無理なことなど

17日付のメールが残っています。

でもその17日からわずか半月ほどで、

今月1日の未明に亡くなってしまったのです。

 

去年の12月12日の手術から数えても

たった半年です。

早すぎました・・・・

残念でたまりません。

もうちょっといろんな話をしたかったです。

 

後輩たちが次々にお見舞いに行って

元気そうだったと聞いていたし、

本当に油断していました。

余命2〜3ヶ月とは言っても

福山さんは「望みは捨ててないです」

「頑張っています」といつも前向きでした。

半年とか1年とか頑張って、

いや、もしかしたら

癌を克服してくれるのでは?と

本気で思っていました。

 

本当に

本当に

本当に

残念です。