東京医大が科学技術庁の佐野局長の

合格ラインに達していなかった息子を

合格させていた汚職事件の記憶もまだ新しいが、

今度はその東京医大が女子学生の点数を削って、

不合格にしていたことがわかった。

 

東京医大には縁がなかったし、

どういう学生を入れて、

どういう学生を入れないかは

まぁ大学側の自由かもしれない。

ただ、東京医大の「物差し」はどうも

世間の真っ当な「物差し」とは乖離していただけである。

 

私が就職した昭和の末期までは

企業は「男性10人」「女性5人」などと

性別を明記して従業員を募集するのが当たり前だった。

ましてや給料や社宅、福利厚生についても

男女でまったく差別なく

女性を採用してくれる企業は大変に少なく、

当然のことながら、将来の幹部社員として期待される

「総合職」という言葉もなかった。

サントリー、東京銀行、マスコミ、など

数少ない企業が男女を同じ条件で雇ってくれたため、

就職したい女子学生は数社に集中したもので

大学の友人とも行きたい企業が大概ダブり、

狭き門を巡って

事実上のライバルとして競争しなくてはならなかった。

 

「まともに試験をすれば女子学生ばっかりになる。」

 

これは私がNHKに就職した時に、

研修所の先生であり先輩記者だった

「男性たち」から言われた言葉だ。

今回の東京医大についても同じ本音が語られている。

就職しようとしている学生たちのうち

女性の方が優秀なのだ。

 

私は59年に入局したのだが、

採用された記者30人のうち、女性は二人だけだった。

他の職種を合わせると200人以上が採用されたはずだが、

四年生大学卒の女子は秘書3人を含めて9人。

後は全員が男子だった。

職員中の女性の比率は4%だったと記憶している。

 

研修所では

「お前たち(女性二人)が入ったから

(不合格で)泣いた男が二人いる」と言われた。

が、それを聞いた瞬間、

私に負けるような男なら

NHKには必要ないんじゃないの?と思って無視した(笑)。

 

昭和61年(1986年)

男女雇用機会均等法の施行に伴って

企業側は特別な職業を除いて

募集要項の中に男性とか女性とか

性別を出してはいけないことになった。

同じ仕事をしている場合、

待遇も男女同じになった。

つまり私は男性職員と同じ給料をもらっていたわけである。

否、一時期は一部の同期よりも少し早く昇進したから

一部の同期より、たくさん稼いでいたに違いない。

 

そしてあれから30年以上が過ぎ、

もう私も同期たちもすでに定年を迎えたぞ。

 

東京医大は今頃になって女性たちを意図的に落としている?

なんという時代錯誤。逆行なんだろう?

 

理由として病院側が女医より

男性医師を採用したがるからだそうだ。

 

日本社会で女性は男性の添え物なんだろうか?

結婚や出産のたびに抜ける女性より、

男性の方が使いやすい、という事か。

 

東京医大のケースは

男女雇用機会均等法の精神を踏みにじるような

世の中の「本音」が明らかになっただけという事なのか?

 

均等法誕生からもう30年がたった。

あまりにも今更な、東京医科大学の女性差別。

結局、何も変わっていないのかしらね。

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