Can you speak English? 

 

こう聞かれたり、聞いたりした日本人はとっても多いと思います。英語学習が始まって、最初の頃、必ず遭遇する文章だと思う。実は昨日、とっても優秀で頭の良い後輩記者のやっちゃんから、「大村さんみたいに英語が上手になりたい」と言われました。ありがたいけれど、自分としては「英語が上手」と思ったことがこの半世紀全くなくて、妙に違和感があったのです。やっちゃんに怒っているのではありません。もしかしたら、この「感覚の違い」が、英語上達のコツかもしれないし、みなさんのヒントになるかもしれないので、ちょっと説明してみます。

 

タイトルに Can you speak English? は失礼、と書きました。別に文法上は何の問題もない。が、私は失礼だと思うので、絶対に使いません。「キャン」という音もアメリカ的に発音するとちょっと下品だし、自慢しているようにも聞こえる・・聞こえませんか?

 

Can you play the piano?  Yes, I can. I can play the piano very well.  さぁて。これのどこが失礼か?わかりますか?

 

can はランダムハウス英和大辞典によると、強形は意味を強調するときや、文尾などで次に同士がない場合に用いられます。単純に言うと、「できる」「能力がある」という意味になると思います。今、知りましたが(笑)「補助動詞」なのだそうです。

 

つまり、can には 「能力的にできるかどうか」を問う意味があります。Can you swim? あなたは泳げるの?Can you play the violin? あなたはバイオリンが弾けるの?と、相手ができるかどうかを問いただしているのです。泳ぎや楽器ならまぁ許そう。しかしCan you speak English? となると、私ならちょっとムッとする。私にとっては英語はもう1人の自分のような存在だし、もう50年も勉強しているので、今更、出来る出来ないの問題ではない。何だろう?道具のような?

 

「この人に英語通じるのかな?」と聞くときは、Do you speak English? あなたは英語を話しますか?と聞くようにしています。特に日本語がとても上手な外国人の場合、どうしてもお顔を見ただけでこちらは英語を喋ってしまいますが、私の無理な英語をかわいそうに思ってか、あちらが日本語に切り替えてくれることが良くあります。そういう時、私は Oh, you can speak Japanese と言わず、 Oh, you speak Japanese!  と 「CAN」を外します。あなたは日本語を話せるのね!ではなく、あなたは日本語を話すんだ! と言う言い方にするのです。

 

違いがわかりますか?微妙な違いですが。Do you understand what I mean? これを Can you understand what I mean? と私があなたに言ったら、ちょっとムッとしませんか?それぐらい、わかるよ!って。

 

逆に「出来るよ」を強調したいときは Yes, I can のcan を強く発音します。キャン、じゃなくて きゃ〜〜ん です。オバマさんを思い出しましょう。Yes, we CAN! 実現できる、と言う強い意志を表しているわけですね。余談ですが、Yes, we will のwill もとても強いです。 I will. は絶対にやります、みたいな。 これが過去形になると I would となるわけですが、急に仮定法的になり、弱気になります。 I will は自分の気持ちが決まっている時、would は多分やるだろうな〜、みたいな感じなら I would で。ついでに覚えておいてください。

 

ね、Can you speak English? と Do you speak English? の違いわかりますよね? この can と do の 微妙な違いを感じ取れるようになれば、ほら、ちょっと英語が身近になった感じがしませんか? 英語の勉強がなかなか進まないなぁとお悩みの皆さんへの、今年最後の「大ヒント」になりますように。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。来年はもうちょっと真面目に頻繁に書きたいと思います。###