今月、ジャカルタに出張した私はまたしてもがっかりした。宿泊した中堅ホテルのテレビには、NHKワールドがなかったのだ。29年間のNHK時代のうち、12年間をNHKワールドで勤務した私にとって、海外のホテルでNHKが映らないのは、まさに屈辱的だ。

 

海外に向けて放送されているNHK国際放送には2つのチャンネルがある。NHKプレミアムとNHKワールドだ。プレミアムは人気のドラマやバラエティー番組、ニュース価値の高いものなどを再編成して有料で放送しており、紅白や相撲などはリアルタイムで放送されている。海外の駐在員とその家族は大概、このpremiumをケーブルテレビ経由で見ている。一方で、ワールドは日本のニュースを海外に直接伝えるための無料の英語テレビ放送だが、これも本来ならプレミアムと同じようにケーブルテレビなどの配信会社経由で放送されてもおかしくないのだが、初期の営業がお粗末だったのか、まったく営業しなかったのか?発足して20年になろうとしているにも関わらず、認知度が低く広がっていない。

 

え〜〜?NHKが英語のニュースや番組を作ってたの〜?知らなかった〜〜?って?

 

そもそも日本国内の一般チャンネルで、総合テレビや教育テレビのように見られないのがおかしいのだ。「すべての地上波の放送サービスは日本語でなくてはならない」という時代錯誤の放送法が国内での放送を事実上、認可していないのだ。過去に何度か、国内でも英語の国際放送を流そうという機運が高まった。でも何故か消えた。

 

結局、法改正より世の中の動きの方が早く、NHK国際放送は今ではインターネットでみられるようになっている。でも本来なら国内に住む外国人のためにも、総合テレビや教育テレビのように、チャンネルをもらえなければ。200億円を超える大変なお金と労力をかけて番組を作っているのだから。それがまさに垂れ流し。放送されていることが認知されていないだけではなく、もちろん「国益」にも十分に貢献していない。

 

国際放送は「海外の外国人のためのもの」という概念を捨て、たんにNHKの放送の一環とすべきだとおもう。これは地上波だけ、あれは国際放送の電波だけ、とハードを選んでいる時代か?もちろんInternetテレビが主流になれば、チャンネルは関係なくなるわけですが、それまで何年、保留するのだろう?

 

日本人が国内でも見ていない放送を、海外の外国人が楽しんで信頼して見るわけはない。なんでそんな単純なこと、気付かないのかな。###