私がマスコミ業界に入ったのは

1984年春なので、

もう33年も前の話になります。

それぞれの新聞社やテレビ局の

大きさは違うけれど、

正社員(正職員)を目指して

受験する場合の

コツや心構えは、

何年経っても

変わらないような気がします。

 

就活している学生さんを見て

いつも思うのは

「個性」を感じないことです。

若くてまだ世間がわからないから

当然と言えば当然ですが、

学生さんたちは

もしかして就職って

行きたい会社に

自分をはめ込むことだと

思っていないでしょうか?

 

自分を入れてくれる会社を探して、

自分をはめ込むとか

合わせるとかじゃなくて

自分が自分らしく働ける場所を

見つけるのが就活です。

 

同じように見えて、

全く違うと思うのです。

 

もうちょっと簡単に言いましょうか。

例えば「マスコミ」と言っても

色々とあります。

いわゆる「大手マスコミ」は

政治部、経済部、社会部、国際部

スポーツ部、みたいな感じで

部が分かれていて

「報道」に携わりますよね。

でもスポーツ紙だと

スポーツと芸能ニュースが

中心になるのでしょうか。

 

私はNHKしか知らないので、

主にNHKについて書きますが、

大手マスコミ各社には

それぞれ色があります。

 

NHKは原則、不偏不党。

ニュートラルであることを

基本としています。

他の社も、もちろん

建前上はそうでしょうけれど、

一般的な評価で言えば

朝日新聞社は左、

読売と産経は右。

とよく言われますね。

 

マスコミに入りたいと

思っている学生さんは

ます、各社の新聞を読み、

全てのキー局のニュースを

見て見ましょう。

 

テレビ局は

以下のような系列になっていますね。

知っていますか?

 

NHK=系列新聞社なし

日本テレビ=読売新聞

TBS=毎日新聞

テレビ朝日=朝日新聞

フジテレビ=産経新聞

テレビ東京=日経新聞

 

つまりTBSのニュースに

朝日新聞や読売新聞の解説委員が

出演することはなく、

TBSには毎日新聞社の解説委員や

論説委員が出演するわけですね。

(解説委員や

論説委員という呼び名は

社によって違います)

 

ですから自ずと

報道姿勢や論調が

似ているか、同じはずです。

産経新聞がある問題をマルと言ってたら

フジテレビもマルというはずなんです。

フジテレビだけがバツ、という

はずがないんですね。

 

こうやって、最初はまず

どの社と系列のテレビ局の主張が

あなた個人の主張と同じ、

あるいは似ているか?

探して見ましょう。

 

単純にいうと、

新聞の論説を読んだりして、

「そうだ!そうだ!」と

同感できるかどうかです。

あなたがいわゆる「右」っぽいなら

左っぽい会社には

合わないはずです。

日頃からお家の方が大好きな

新聞社も一つの目安かもしれません。

家では読売新聞でも

子供は朝日が好きということも

あるかもしれませんけれど。

 

もちろん、読売でも朝日でも

どちらも一流ですから

大きな仕事ができるなら

どっちでもいいや、と思うなら

それはそれで

良いのかもしれませんね。

部数的にいうと、

読売が世界最大の発行部数を

誇っていますね。

自分の記事を少しても多くの人に

読んでもらおうと思えば

読売新聞なのかもしれません。

 

新聞社を受けるか

NHKを受けるか?

これはもう

テレビに出たいか、

出たくないか、

の違いくらいでしょうか。

試験の難しさも待遇も

さほど大手新聞社とNHKでは

大差はない気がします。

テレビに映りたくない、

人前で喋るのが嫌いな人は

テレビには向いていませんね。

実は目立ちたがり、という人は

NHKで才能が

開花するかもしれませんね。

 

ただ、NHKと民放さんの間には

とっても大きな差があります。

最大の違いは転勤の有無です。

NHKは全国に転勤する可能性があり、

民放さんの場合、

東京のキー局に就職すると

基本、東京勤務になりますね。

報酬は民放にもよりますが、

一般的には民放の方が

賃金が高いと思われます・・・

 

マスコミとは言っても

東京から離れたくない人は

民放テレビ局を選びましょう。

大手の新聞社とNHKは

必ず、地方に赴任しますから。

 

そもそも大手新聞社とNHKは

「報道機関」と呼ばれていて、

記者クラブが

民放各社とは

別になっている場合が多いです。

中央の省庁の記者クラブは

新聞記者会とテレビ記者会に

別れていて、

NHKは新聞社の皆さんと

同じクラブに所属します。

「署周り」「夜討ち朝駆け」という

刑事物のテレビドラマで見るような

事件記者になりたければ

新聞社かNHKに入った方が

実態が近いです。

 

いやもちろん、

民放の記者たちだって

当然、取材をしますが、

人数が違うので、

(NHKは民放のざっと数倍から

10数倍の大きさ)

大小全ての現場に

新聞各社の記者と揃う訳ではないです。

地方局の記者クラブには

地元の民放記者が

不在なことも多いです。

 

民放さんの取材体制は

ここの会社で違うので、

みなさんが目指される場合は

先輩を見つけて聞いて見てくださいね。

私がここで書いたのは

NHK職員時代に見たことを

書いただけですから。

 

要するに、テレビで見ていると

ほとんど差がないように見える

テレビ局でも

「企業」「組織」として見ると

全く規模が違います。

1万人の職員がいるNHKと

300人?くらいのテレビ東京さんでは

自ずと仕事の内容も

記者の修行プロセスも違います。

テレビを目指す人は

各局の勤務の実態や

報酬なども先輩や

大学の就職指導室などの情報で

確認しましょう。

 

それからあまり学生さんには

馴染みがないですが、

「通信社」という手もあります。

共同通信社と時事通信社ですね。

新人時代は

新聞社やNHKと同じように

記者クラブで見かけました。

 

それから女性の社員、

職員の採用に関しては

私が聞いた範囲では

朝日新聞社が一番早く、

NHKは朝日さんを真似て

女性記者の採用を始めたと聞きました。

私はNHKの女性記者の二期生ですが、

その頃から共同さんも

採用を始めていると思います。

マスコミは今は男女平等が

基本ですけれど、

「報道に女はいらない」と

言われた時代が案外長く、

テレビの女性記者の歴史は

まだ30数年なんですね。

 

今ちょうど、各社が採用した

女性記者たちが

部長や役員クラスに

さしかかっている時期だと思います。

 

マスコミを目指して

とにかくどこかに入りたい!と

思っている学生さん。

例えば車で言えば

トヨタか、日産か、ホンダか。

いすゞかスバルか

入った会社によって

製造する自動車も違うように、

新聞社もテレビ局も

どれも同じって訳ではないのです。

 

「どこでもいいから

入れてくれるところに

入りたい」という気持ちを

ちょっと切り替えて、

自分に合う新聞社、テレビ局は

一体どれなんだろう?と

「選んで」みませんか?

 

記者を目指すんですから

少々厚かましくても

構いません。

先輩やら親の友人やら

使えるものは全部使って(笑)

企業研究してみましょうよ。

どんどん調べてみましょう。

そしてどの社、局が

自分に一番あって、

自分がのびのびと

記事がかけそうか、

「評価」すればいいんです。

就職試験は媚びてもダメです。

 

「マスコミは難しいからきっと無理」と

思うのもやめましょう。

それくらいの根性では

どうせ厳しい職場で

精神力が持ちませんよ。

自分にはジャーナリストとして

やるべき事がある、

伝えたい事がある、

そして自分には

この社が良さそうだ、と

納得して

就職試験を受けてみてください。

 

絶対道は開けると思います。

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