去年の夏から突然声楽を始めました。

そして3月20日が

二期会愛好家クラスの

半年を締めくくる発表会だったのです。

 

テレビ生活29年、

舞台慣れしているはずの私ですが、

発表会のひと月ほど前から

異様に緊張してきました。

 

声楽は仁王立ちまでは行かないけれど、

足を少し開いて、ど〜んと腰を据えます。

ですので、脚が見えないように

ロングドレスを着るのが普通なのです。

 

ドレスを探す事になりました。

たまたま娘とインドネシアに

里帰りをかねて遊びに行く事になっていたので、

友人のひとみさんにも加わってもらい、

ジャカルタのSOGOデパートで

ドレスを探しまわりました。

 

ところがないのです。サイズが。

インドネシア人、グラマーだけれど

骨格が小さい女性が多いのです。

50すぎてすっかりおデブな私には

合うサイズがほとんどないのです。

ようやく二人がピンク色の

素晴らしいドレスを見つけてくれて

これが yang paling besar

一番大きいのです、と笑顔の店員。

娘も試着室に入って着てみるものの

背中のファスナーが上がらない・・・

 

娘 「あと3キロくらい痩せれば入りそう

あと2週間で痩せればいいんじゃない?」

 

私「・・・・」

 

というわけで断念。

諦めて帰ろうとしていたとき、

娘が青いドレスを指差して

「これはっ???」と駆け寄って行きました。

見ると、胸元に結構豪華なビーズがついている

なかなかのドレス。

う〜〜ちょっと肩が丸見えだけれど、

他にないから着てみるか?ってなもんで試着。

あ〜ら不思議、ぴったり❤️

よし!日本で探してもないだろうし、買っちゃおう!

決断してレジに行ってびっくり。

なんと、バーゲンで8000円だったのです。

インドネシア製とはいえ、超お買い得❤️

青い色と銀のspangle も

「 Vaga luna 優雅な月」を

歌うにはぴったり。

 

ところがこれを私の背丈に合わせて

日本で裾あげを頼んだら

5500円もかかりました・・・とほほ。

 

さて17日のリハーサルがやってきました。

ドレスの裾上げは間に合わず

私服のままで歌います。

私は声楽歴が一番短いので、トップ。

舞台上の中央まで歩いてきてお辞儀して。

 

一曲目のCaro mio ben は

声楽を習う人が

最初に学ぶ事で知られています。

これはまぁ良かった。

ところが二曲目の歌いだしが浮かばない・・・

あれ??何だっけ?

ピアノが鳴って、歌いだし直前に

やっと思い出しました。

ゔぁ〜がるぅ〜う〜なぁ〜♪

 

ところが安堵したのもつかの間、

その後がすっかり解らなくなったのです。

久々に「頭の中が真っ白」状態に。

そのあとは悲惨です。

もう1番だか2番だか、ワケわかんない。

混乱の極み。

 

もうぼろぼろでリハを終えたのです。

リハの後のレッスンで、

もう一回歌ったけれど、またダメ。

しどろもどろ。

 

あれ?????覚えている

「つもり」だったんだけれど・・・。

 

それから20日本番までの三日ほど、

私は呪文のように唱えていました。

ゔぁ〜がるぅ〜う〜なぁ〜♪

 

この曲は本来、

愛する人への思いを伝えて欲しいと

月にお願いする美しい歌なのに

それどころじゃない。

イタリア語の意味が

ちゃんと解っていないから丸覚え。

この年令で丸覚えには限界が

ありましたわ・・・

 

舞台で真っ白になってはいけないので、

私は「ネームペン」を買って来て

手のひらに書く事しました!

各節の頭さえ解れば

あとはすんなり出そうじゃないですか。

だから頭だけ書く事にしました。

 

ヴァガ

ケイ

クエステ

エディン

 

え?あれだけ

「英語はカタカナ表記するな」って

言ってるのに、

なんでイタリア語は

カタカナ表記なの?って?

 

あのですね、イタリア語は

che と書いて「け」なんです。

英語だと「ちぇ」となりますから

私は混乱してしまうのです。

ge は「じぇ」 英語は「げ」

 

あぁ”〜英語の知識が邪魔っ!

な〜〜んて、ウザいですかね。

というわけで左の手のひらに

奇妙なカタカナが並んだのです。

写真とっておけばよかったね。

 

さて本番の日、

いや、もちろん、

手のひらを見ないようにしましたよ〜。

ちらっとくらいで(笑)。

 

見ていた仲間の評によると

「さりげなくうまく見ていた」そうです。

 

バレバレやんww。

 

私こう見えてもまもなく57。

世間で言う、

いい歳したおばさんです。

せっかく

青いドレスで髪セットして

フルメイクで歌ったのにねぇ。

 

おまけに

行きはよいよい帰りは怖い、

とは良く言ったもんで、

歌が終わって着替えるとき、

青いドレスは意外に?ぎゅぎゅうで、

一生このまま脱げないかと思うほど

ひっくり返った長いスカートが

途中で引っかかって

トウモロコシを剥いた時のような

エラい状態になりました・・・

 

初舞台は苦い思い出となりました。

うた姫じゃなく、

事実上、ブタ姫でした。深く反省。

 

秋の発表会頑張ろっか。ね。

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