愛知県警記者クラブの新人記者だったころ、

局では警察と消防の無線を傍受していました。

現場の映像をいち早く押さえるために、

少しでも早く、記者とカメラマンを

送り込むためです。

 

警察無線は暗号のような言葉ばかりで

しゃべっていました。

数年のうちに

デジタルになって傍受できなくなりまりましたが、

言葉は今もそうでしょうか?

熱心な記者ではなかったし、

もうあまり覚えていないのですが、

確か酔っぱらいは「412ヨンイチニ」だったか?

被害者は「マルガイ」。

例えば千種区路上で412発見、みたいな。

 

タタキ=強盗

サンズイ=汚職事件

ガサ=家宅捜索

ホシ=犯人

ウタウ=自供する

 

などなど。

テレビの刑事ドラマの隠語は本物です。

 

ある日無線を聞いていたら

どうも路上に女性が一名

倒れているという110番があった模様。

私は「殺人事件だ!」と勇んで?現場に向いました。

 

そしたら何と警察官たちより

早く着いてしまった・・・😱😱😱

 

路上には若い女性らしき人がぐにゃりと倒れています。

お人形のように・・・。

一目見ただけで、亡くなっていると思いました。

頭の辺りが割れていたようでしたが、

近づこうかどうしようか?触る訳にもいかないし・・・

と思っていると

警察官たちが駆けつけてきました。

リーダーらしき、年配の刑事が真っ先に近寄り

女性の呼吸等を調べ始めました。

 

私は目の前に倒れている女性が

若いのか?年配なのか?

一体どんな人なのか?

急に確かめたくなり、

2〜3メートルくらい離れたところから

こわごわその方の顔を

しゃがんで覗き込もうとしたのです。

 

そのとき、

怒鳴られました。大声で。

 

「失礼だぞ!」

 

私はぴーんと、瞬間、伸びきってしまいました。

 

「この人には家族もいるんだぞ!

そんな怖そうな格好して!

仏様に怖いと思ったら失礼だぞ。」と

刑事が矢継ぎ早に怒鳴りました。

 

その倒れている女性は

まだあたたかったはず。

心配して探しているご家族もあったでしょう。

30分、いや20分前には生きていた人です。

 

記憶では私が取材現場で目にした「ご遺体」は

この人が二人目でした。

 

以来、現場でご遺体を目にする事があっても

絶対に怖がったり、

気持ち悪がったりしてはいけないのだと誓いました。

現場で叱ってくれたその刑事さんに

今でもとても感謝しています。

 

もう30年以上前です。

引退はされていると思いますが、

昭和59年に名古屋市内で、

飛び降り現場のご遺体を見て震え上がった

大馬鹿女性新人記者に心当たりがある刑事さん、

ご一報いただければ嬉しいです。