掲題の今朝の朝日社説。
比較的説得的。
ご参考まで。
厳しい世論に方針転換を余儀なくされたのだろう。ただ、実態解明や抜本的な政治資金改革を伴わねば、失墜した自民党への信頼を取り戻すのは容易ではあるまい。
石破首相が一昨日、裏金問題で党の処分を受けた議員のうち、安倍派幹部ら一部を、次の衆院選の小選挙区で公認しない方針を発表した。公認する場合も、比例区への重複立候補を認めず、復活当選をできなくする。「退路を断って有権者の審判に当落をゆだねる」という。
首相は当初、裏金問題を蒸し返さないという党執行部の意向を追認。裏金議員も「原則公認」とする方向で調整していたが、世論の反発に加え、党内からも選挙への悪影響を懸念する声が上がり、衆院解散の3日前というギリギリでの軌道修正となった。
だが、首相が判断基準とした党の処分自体が、真相究明を置き去りに、形だけのけじめを急いだ、甘いものだったことを忘れてはならない。処分対象も、政治資金収支報告書への不記載があった85人中、過去5年の総額が500万円以上の39人にとどまる。
党の役職停止1年の処分を受けている安倍派の松野博一氏は、国会の政治倫理審査会出席を理由に公認される見通しだ。しかし、安倍派でいったん廃止を決めたパーティー券収入の還流が「復活」した経緯について、安倍派幹部の証言は食い違い、真相はわからずじまいとなった。政倫審出席をもって説明責任を果たしたとはとてもいえない。
比例単独議員の扱いは公表されていないが、名簿登載は認められないのが当然だ。
首相は衆院解散前の国会論戦の重要性を再三指摘しておきながら、総裁になるや「最速」での選挙実施を表明した。公認問題の方針転換が、党内事情より国民を向いた意思決定に向かう契機になるのか、注視したい。
きのうから、首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。「自分の言葉で語りたい」と言っていた割には、首相の答弁は総じて、過去の政府の説明をなぞるものだった。
例えば、総裁選で導入に前向きな姿勢を示していた選択的夫婦別姓については、「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、さらなる検討をする必要がある」といった具合である。
これではとても、衆院選に向け、国民の判断材料を十分示すことにはならない。今からでも遅くはない。解散日程を見直し、原点にかえって、予算委員会での論戦にたっぷり時間をかけたらどうか。