自民党の総裁選 「政治とカネ」忘れたのか | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アセモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

極めて説得的。

ご参考まで。

 

「政治とカネ」の問題にどう取り組むのか。党を再生するというのであれば、その姿勢と道筋を示すことが先決だ。

 

 退陣表明した岸田文雄首相の後任を決める自民党総裁選が、9月27日に投開票される。選挙期間は12日の告示から過去最長の15日間となる。地方を含め候補者による論戦の機会を増やし、党の刷新をアピールする狙いがある。

 

 裏金作りの全容は解明されていない。政治資金規正法は改正されたものの、多くの「抜け道」が温存された。政治資金を監査する第三者機関を新設するが、制度設計の議論にすら着手していない。

 いち早く出馬表明した小林鷹之前経済安全保障担当相は「新たな自民党に生まれ変わる。脱派閥選挙を徹底する」訴えた。だが、記者会見の様子や発言からは、金権体質のうみを出し切る覚悟はうかがえない。

 

 会見には、組織的に裏金を作っていた安倍派から、支援する中堅・若手が多数同席した。党の処分を受けた議員もいる。会見に先立ち出演したインターネット番組では、処分を受けた議員が要職から除外される現状に疑問を示した。

 総裁を目指す他の議員にも、政治資金問題に正面から向き合う姿勢は見えない。これでは国民の信頼回復はおぼつかない。

 

 自民ではこれまで派閥がカネと人事を差配し、その合従連衡により総裁を選んできた。多くの派閥が解散を表明している今回の総裁選では、従来のような派閥力学で動くのではなく、政策や人物本位によるリーダー選びが実践できるかが問われている。

 事件が表面化して以来、党内から改革を求める動きは乏しい。衆院議員の任期満了が来年秋に迫る中、不信の目は党全体に向けられている。

 

 裏金事件をうやむやにしたままでは、選挙目当てで「顔」をすげ替えるだけだと国民から見透かされる。求められているのは、開かれた論戦を通じて党改革の本気度と政策の中身を競い合うことだ。