掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
安心を提供する損害保険で不正が横行し、消費者の不信が高まっている。大手4社は寡占の「なれあい体質」から脱却し、信頼回復を急がなければならない。
損保業界で2022年夏以降、不祥事が相次いでいる。中古車販売大手、旧ビッグモーターの保険金不正請求問題では、保険代理店を兼ねる同社と損保各社のもたれ合いの構図が浮き彫りになった。
損害保険ジャパンは関係悪化による自動車保険の販売減少を恐れ、不正の疑いが濃厚と知りながら取引を続けていた。金融庁の業務改善命令を受け、親会社SOMPOホールディングスを含むトップが引責辞任した。
大手4社は500を超える企業・団体向け保険契約でカルテルを結び、事前に保険料を決めていた。企業側は不当に高い保険料を強いられた可能性がある。4社は金融庁から業務改善命令を受けたほか、公正取引委員会からも独占禁止法違反と認定されている。
最近では、大手損保の社員が出向先の代理店の契約者情報を親会社などに漏えいしたことも発覚した。親会社の営業活動に流用した疑いがある。保険業法や個人情報保護法に違反する行為だ。金融庁は4社に、事実関係を確認し、報告するよう求めている。
金融庁は、背景に業界の構造的な問題があると見ている。
4社で企業向け保険の約9割のシェアを握る寡占状況の下、もともと競争原理が働きにくい。
契約獲得の実動部隊である代理店に気兼ねし、大手損保が本来行うべき代理店経営者への指導を怠ったことが不正を助長したとも分析している。
再発防止に向け、業界団体の日本損害保険協会に対して、中立的な立場の第三者機関を設けるよう求めた。代理店の法令順守体制などを公正にチェックする仕組みが不可欠と考えるからだ。
取引関係維持を狙いに保有する顧客企業の株式の売却も促している。契約が商品性や価格以外の要素で決まる不透明な商慣行を是正する必要があるためだ。
損保各社は自浄能力を発揮し、顧客軽視のあしき体質を徹底的に排除しなければならない。不正の根を断ち切れるかどうかが問われている。