掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
安全より業績を優先する姿勢が目に余る。医薬品や健康食品を扱うメーカーとしての自覚を欠いていたのは明らかだ。
小林製薬の機能性表示食品「紅麹(べにこうじ)」サプリメントによる健康被害問題を巡り、有識者が検証した調査報告書がまとまった。
青カビ由来の成分の混入で、摂取した人に腎機能障害などが広がり、死者も出た問題である。報告書では安全対策や危機管理のずさんさが改めて浮き彫りになった。
菌の培養は厳格な衛生管理が必要だが、製造工場のタンクに青カビが付着していたとの証言があった。乾燥機の故障や排気の不全も放置されていた。
主力商品にしようと生産を増やす一方、運用は現場任せで、人手不足が常態化していた。問題発覚後も、経営陣はこうした実態を把握していなかった。
企業統治(ガバナンス)は機能不全に陥っていた。
1月中旬から健康被害の情報が相次いで寄せられ、診断した医師から対応を促す声もあった。だが、2月上旬に報告を受けた小林章浩社長は回収などの指示を出さなかった。公表されたのは2カ月以上たってからで、業績などへの「風評リスク」を考慮したとの記録も残っている。
こうした意思決定は、社長以下数人による毎週の幹部会議でなされ、4人いる社外取締役には国への報告直前まで正式に伝えられなかった。社内規程にある危機管理本部も設置されなかった。
被害の全容はいまだ明らかになっていない。徹底した情報開示と迅速な補償を進めなければ、重大な不祥事によって失われた信頼は回復できない。