首都の選択 政党不信 直視してこそ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アセモグルら)

掲題の今朝の朝日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 小池百合子氏が3選を決めた東京都知事選は、事実上の与野党対決だった。

 

 しかし、政権政党でありながら自前の候補者を立てられず、小池氏の実績と知名度にすがった自民党の勝利とは到底言えない。

 

 一方で、小池氏に匹敵する知名度を持つ蓮舫氏を擁立して挑んだ野党第1党の立憲民主党は、「完全無所属」を掲げた前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の後塵(こうじん)を拝した。

 

 政治への信頼を失墜させた自民党の派閥の裏金事件。にもかかわらず、抜け道だらけに終わった政治資金規正法の改正。与野党を問わず、有権者が抱える深刻な政党不信の表れではないか。

 

 小池氏は自民、公明両党から支援を受けたが、正式な「推薦」「支持」は得ず、両党の応援演説もなかった。政党色を極力排し、朝日新聞の出口調査では、都内の有権者のほぼ半数を占める無党派層の32%から支持された。

 

 その小池氏を上回る36%の支持を無党派層から集めたのが石丸氏だ。蓮舫氏の16%の倍以上になる。政党の支援を受けず、ボランティアを中心にSNSを駆使した選挙戦は、若い世代を中心に熱心な支持を得た。既成政党に飽き足らない有権者の受け皿となったことは間違いあるまい。

 

 片や、小池都政を自民と重ね合わせ、「反自民・非小池」を看板に、共産党などとの野党協力を前面に出した蓮舫氏の戦術は空振りだった。政策、運動両面とも、徹底した自己検証が求められる。

 

 4月の衆院補欠選挙以降、各地の地方選挙で敗北続きだった自民は一息ついた形だ。

 

 だが、知事選と同日に投開票された都議補欠選挙で、自民の候補は2勝6敗と大きく負け越し、欠員が生じる前から3議席減らした。裏金事件で処分を受けた、都連会長の萩生田光一政調会長の地元の八王子市でも敗れた。

 

 裏金の実態解明も責任追及も中途半端で、政治資金の抜本的な透明化に後ろ向きな自民の「反省」が口だけだと見透かされているのだろう。この厳しい民意に正面から向き合わずして、党の信頼回復はないと思い知るべきだ。

 

 都知事選の投票率は60・62%と、前回の55・00%を上回った。60%を超えたのは2012年以来だ。有権者の政党離れを、即政治離れとみるのは誤りだろう。

 

 自民、立憲両党とも、秋に党首選を控える。来年秋までには衆院選も必ず行われる。多様な民意に謙虚に向き合い、国民のための政策の実現につなげる。政党の力の立て直しこそが急務である。