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円安による業績押し上げや脱デフレ、資本効率改善への期待が継続
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名実ともに日本株底上げ示す、エントリーしやすい市場-野村AM
4日の東京株式市場で、東証株価指数(TOPIX)が取引時間中ベースの史上最高値を更新した。更新は34年7カ月ぶりだ。
TOPIXは一時前日比0.6%高の2890.52ポイントまで上昇し、1989年12月18日に付けた取引時間中の最高値2886.50を上回った。日本企業の業績が堅調に推移する中、投資家の間で長期にわたったデフレ経済からの脱却や日本企業の資本効率改善に対する期待感が続いている。
半導体などテクノロジー株の影響が大きい日経平均株価は今年2月、一足先に史上最高値を更新していた。日本株市場全体の値動きを示すTOPIXも今回高値を更新したことは、投資対象が他の業種にも広がっているほか、日本株市場がバブル経済の呪縛から解き放たれたことを示す。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「一部銘柄にウエートが偏っている日経平均とは違い、TOPIXの動きは名実ともに日本市場全体の底上げと最高値を示す」と評価した。日本がデフレ脱却に向かう中でバリュエーションは米国株に比べてなお低位にあり、今からでも「エントリーしやすい市場だ」とみている。
1ドル=160円を超す水準まで進んだ円安は自動車など輸出関連企業の業績に寄与し、日本銀行による金融政策正常化の動きも日本経済がデフレから脱却する流れと受け止められている。さらに、東京証券取引所が後押しするコーポレートガバナンス(企業統治)の改善を評価した資金も足元では大型バリュー(割安)株中心に海外から日本市場に流入している。
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大和証券の集計によると、上場主要企業(除くソフトバンクグループ)の2024年度経常利益は前期比5.9%増と、4期連続で過去最高益更新が予想されている。製造業では自動車の増産、電機・精密・機械の復調、非製造業では実質賃金増やインバウンド需要増などが貢献する。25年度も8.6%増益と連続最高益は続く見通しだ。
ガバナンス改革
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が6月に行った世界のファンドマネジャー調査によると、日本株は引き続きアジアで人気のある市場で、回答者の3分の1が最も重要なテーマとしてコーポレートガバナンスの改善を挙げている。アナリストらは、東京証券取引所によるTOPIXの見直し計画がガバナンス改革に向けた圧力になるとの見方を示す。
ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジスト、ブルース・カーク氏は「日本企業は依然として東証からのコーポレートガバナンス改革の圧力に応えることに非常に熱心だ」と指摘している。
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4日の日本株相場の詳細 |
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米国の経済指標下振れを受けた利下げ観測の高まりで、国内市場でもリスク資産への買いが継続。自動車や機械など輸出関連、商社や非鉄金属、海運といった海外景気敏感業種が高い。エヌビディアなど米半導体関連株の上昇も追い風となり、電機や精密機器も堅調。
東証33業種中、29業種が上昇、上昇率トップは非鉄金属、下落率トップはその他製品。売買代金上位ではアドバンテストやトヨタ自動車、商船三井、ルネサスエレクトロニクス、住友金属鉱山が高い半面、防衛省との潜水艦修理契約で架空取引が判明した川崎重工業は大幅安。
背景
- 米ISM非製造業景況指数、6月は活動縮小示唆-4年ぶり低水準
- 米ADP民間雇用者数、6月は15万人増に減速-賃金の伸びも鈍化
- 米失業保険の継続受給者数、9週連続で増加-再就職が困難な情勢示唆
- エヌビディアCEO、1.69億ドル相当の持ち株売却-株上昇の波に乗る
- ドル・円相場は1ドル=161円台前半で推移、前日の日本株終値時点は161円87銭
- 前日の海外市況はこちらをご覧ください
(4日の日本株市場の取引詳細などを追記します)