能登の復興 市民の挑戦 生かしたい | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の朝日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

  能登半島地震から半年が経つ。甚大な被害が生じた石川県では、今も2千人を超える住民が避難所で暮らす。

 

 仮設住宅への入居完了は夏の終わりになりそうだ。上下水道はほぼ復旧したが、在宅避難者の環境は厳しい。かねて過疎・高齢化が深刻だっただけに、雇用や教育環境に不安を感じる現役世帯を中心に他地域への転出も目立つ。

 

 被災者への支援を強化することが、地域の復興へとつながる。国と自治体は協力して全力で取り組んでほしい。

 

 厳しい中でも市民や企業、NPOが独自に街の復興を目指す活動が始まっている。

 

 半島北西部に広がる輪島市の西端。門前町の黒島地区は江戸時代北前船の船主らが暮らした。黒瓦など統一感ある街並みが保たれ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

 

 黒沢卓央さん(56)、恵三子さん(53)夫妻は4月、ここで「黒島みらい会議」を立ち上げた。都内に住む会社員だった卓央さんは50歳を機に転身し、旅行で気に入った輪島市の募集に応じて地域おこし協力隊員に。古民家を購入して宿泊施設を営み、市所有の家屋でカフェを開く。

 

 会議の中心メンバー14人は、70~80代の昔からの住民と、黒沢さんら「よそ者」がほぼ半分ずつ。地域の良さや守るべき伝統について、自由参加形式で議論を重ねる。

 

 住民の多くは遠方の旅館などに避難中だが、4月の調査では回答者の7割が「住み続けたい」と答えた。協力隊員になって5年目の恵三子さんは「人あっての街並み。皆さんが戻れるように」。日本都市計画家協会の協力で、住戸に関する相談会を開く。

 

 より広く、能登全域を見すえて活動するのは、NPOなど60余の団体からなる能登復興ネットワークだ。

 

 七尾市の街づくり会社「御祓(みそぎ)川」を中心に、震災前から地域活性化や子どもの居場所作りなどに取り組んできた集団が母体だ。発災後は被災者を支える活動を展開し、勉強会を続けながら「復興」へ動き出した。

 

 災害に直面し、行政との連携や民間同士の調整・支援の必要性を痛感。そうした能力と手腕を持つ人材を、半島の各地で「地域コーディネーター」として増やしていくことが究極の目標だ。

 

 民間の挑戦に、行政はどう応えるか。石川県は、官か民か、県内か県外かを問わず、復興支援にあたる関係者が集まる官民連携復興センターを今夏にも創設する計画だ。自発的な発想と行動を生かす仕組みにできるかが問われる。