【日本市況】株式反落、長期金利は12年ぶり高水準-円は157円台軟調 | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今日午後東証引け後のブルーンバーグ記事。
ご参考まで。
 
佐野日出之、山中英典、酒井大輔

更新日時 

 

  24日の日本市場では株式相場が反落し、日経平均株価は一時700円以上下げた。経済統計の堅調を受けた利下げ観測の後退で米国の金利が上昇したことが嫌気され、リスク資産を敬遠する売りが優勢となった。電機や機械など輸出セクターのほか、証券や不動産株も安い。

 

  債券市場では中長期債が売られ、10年国債利回りは1.005%と12年ぶりの高水準を付けた。日本銀行が金融政策の修正に早期に動くことへの警戒感が強い上、この日行われた流動性供給入札での応札倍率低下も需給懸念につながった。外国為替市場の円相場は対ドルで157円台前半で軟調推移。米金利の先高観が強い中で輸入企業による実需のドル買い・円売りが先行した。

 

  取引開始前に発表された4月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアベースで前年同月比2.2%上昇と日本銀行の目標である2%を25カ月連続で上回ったものの、エネルギーも除いたコアコアベースでは8カ月連続で伸びが縮小しており、強弱入り交じる内容に各市場の反応は鈍かった。

24日の日本市場の株式・債券・為替相場の動き
  • 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.4%安の2742.54
  • 日経平均株価は1.2%安の3万8646円11銭
    • 朝方に一時735円(1.9%)安まで売り込まれた後、下げ渋り
  • 長期国債先物6月物の終値は前日比14銭安の143円59銭
  • 新発10年国債利回りは0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.005%と、2012年4月以来の高水準
  • 円は対ドルで前日比0.1%安157円03銭-午後3時18分現在

株式

  東京株式相場は反落。米利下げ期待の後退でリスク資産を敬遠する売りが幅広く出て、前日に大幅高となった半導体関連株のほか、証券、不動産などの景気敏感株が安い。新興成長企業中心に構成される東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)は約4年ぶりの低水準に下げた。

 

  TOPIX採用の2141銘柄のうち、下落は1276、上昇は767。売買代金上位ではレーザーテックやソシオネクスト、アドバンテストが売られ、アナリストに中期経営計画の内容が物足りないと指摘された富士電機は急落。一方、みずほ証券が投資判断を「買い」に上げた資生堂のほか、北海道電力は高い。

 

  アセットマネジメントOneの荻原健チーフストラテジストは、4月のCPIは想定通りだったとした上で、「日銀のスタンスがタカ派化しているとの見方が増えており、金利も上がってきているため、日本株の重しになっている」と指摘。金利上昇は本来、銀行など金融セクターにはポジティブになるが、「米利下げの後ずれに対する懸念の方が大きい状況だ」と言う。

日経平均株価の日中推移

 

 

債券

  債券相場は長期金利が12年ぶりの高水準を付けた。日銀による国債買い入れの減額や追加利上げへの警戒感が引き続き重しとなり、流動性供給入札が弱めの結果となったことも売りにつながった。

 

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、「流動性供給入札に悲観的な見方が少なかったので弱めの結果だったことで反応している」と指摘。日銀の国債買い入れが13日オペのように予想外のタイミングで減額されることへの懸念が根強く、利回り水準が上昇しても買いは入りづらいと話した。

  財務省が実施した残存期間「5年超15.5年以下」の利付債を対象にした流動性供給入札は、応札倍率が3.02倍と前回4月16日の同年限入札の3.13倍から低下した。

 

日本債券: 流動性供給の過去の入札結果 (表)

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
  0.335% 0.585% 1.005% 1.860% 2.165% 2.320%
前日比 横ばい +0.5bp +0.5bp +1.0bp +0.5bp -1.5bp

新発10年債利回りの推移

 

 

外国為替

  東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台前半で小安く推移。輸入企業など実需の円売りが円を押し下げたものの、日本時間2日早朝に円買い介入が実施されたとみられる水準に近づく中、介入警戒感から下げ幅も限られた。

 

  外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、購買担当者指数(PMI)を受けた米景況感の強さを背景としたドルの先高観が円の重しになっていると指摘。ただ、2日に介入があったとみられる157円台に入って「介入警戒感が再燃しており、157円台では実需はドル買い・円売りはできても、投機はそれをしづらいかもしれない」と述べた。

前日以降のドル・円相場の推移

 

 

関連記事