政治資金規正法の審議 自民案では土台にならぬ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

   通常国会の会期末まで残り1カ月となる中、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正審議が、衆院特別委員会でようやく始まった。

 

 自民の改正案は改革には程遠い内容で、不透明な資金を温存したい思惑が明白だ。与党の公明党すら共同提出を拒む異例の事態となっている。これでは議論の出発点にもならない。

 

 自民案では、党が「選挙関係」など項目ごとの支出額を政治資金収支報告書に記載するにとどまる。領収書を添付しないため、実際に何に使ったか確認できず、ブラックボックスの実態は変わらない。

 

 政治資金パーティーの透明化も不十分だ。現在20万円超で購入者名が公開されるが、その基準を10万円超に引き下げただけだ。公明は個人の寄付と同じ5万円超を主張したものの、受け入れられなかった。なぜ10万円超なのか、説得力のある説明はない。

 

 岸田文雄首相は「実効性のある再発防止策を示せた」と自賛するが、毎日新聞の世論調査では、自民案を「評価しない」が68%に上った。国民の納得を得られていないのは明らかだ。

 

 立憲民主、国民民主両党などが共同提出した法案は、政策活動費を禁止した。パーティー券については、企業・団体の購入を禁止する案も出されている。

 

 規正法の趣旨は、カネの流れを国民監視の下に置くことだ。より厳格な野党案を基に抜本的な法改正を実現しなければならない。