規正法の自民案 金権腐敗への反省欠く | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の昨日の東京新聞社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 自民党が派閥パーティーの裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を衆院に単独で提出した。企業・団体献金禁止や政策活動費廃止などの抜本改革は含まれず、与党の公明党にも同調を拒まれた。

 

 岸田文雄首相は「政治とカネの抜本的解決策」と強調するが、自党に都合の良い政治資金を温存する意図は明らかだ。野党の賛同を得られるはずはなく、今週始まる衆院政治改革特別委員会での審議は難航確実だ。

 

 自民党案は企業・団体献金の取り扱いに触れず、裏金事件の舞台となった政治資金パーティーに関しても、パーティー券購入者の公開基準を現在の20万円超から10万円超に引き下げるにとどめた。

 

 自粛中のパーティーもほとぼりが冷めれば再開するということにほかならない。企業・団体のパーティー券購入を引き続き認め、公開基準未満のパーティー券収入を裏金にする「抜け道」は残る。

 

 政策活動費は50万円超を受け取った幹事長ら党幹部が使途を9項目に分けて党に報告すると定めたが、党幹部からどの議員に流れ、どう使ったのか、明細を明らかにしなければ透明化には程遠い。

 

 与党実務者協議に加わった自民党の鈴木馨祐衆院議員は企業・団体献金やパーティーを禁止する野党案に対し「自民党の力をそぎたいという政局的な話」と語った。

 

 企業や業界団体からの資金を権力の源泉にし続けるなら金権政治は改まらない。自民党は金権腐敗を反省していないのではないか。

 

 参院政治倫理審査会は17日、これまで弁明していない裏金議員29人に対して出席と説明を求めることを決め、衆院政倫審も同様に44人の審査を可決している。だが、対象者には「けじめはもう終わっている」(衛藤征士郎衆院議員)と出席に否定的な声が多い。

 

 世論との乖離(かいり)を自覚できないなら、自民党にはもはや厳しい再発防止策を示す能力も、実現する熱意もないと断じるほかない。

 

 このままでは首相が明言した今国会での抜本改革は実現しない。国会が機能しないなら、私たち主権者が選挙を通じて政治を改めるしかないことを再確認したい。