自治体4割消滅も 政府は長期人口目標示せ 都道府県の再編もあり得る | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の産経社説。

かなり説得的。

 

もっとも、人口減少の弥縫策を議論しても

効果が期待できず、徒労に終わろう。

 

少子化を本当に防ぐのならば、

家計の生涯にわたる

可処分所得を持続的に引き上げる必要がある。

 

そのための最大の鍵は

消費税撤廃に向けた

消費税率の5%への恒久的引き下げ以外にあるまい。

 

いずれにしても、ご参考まで。

 

 

 

有識者らでつくる民間の「人口戦略会議」が、2020(令和2)年から50(同32)年の30年間で、全国の市区町村の40%を超える744自治体が消滅する可能性がある、と分析した報告書をまとめた。

 

子供を産む中心の年代となる20~39歳の女性人口が50%以上減る市区町村を「消滅可能性自治体」と定義した。

 

10年前の平成26年5月にも別の民間組織「日本創成会議」がほぼ同じ手法で試算し、2010(平成22)年から2040(令和22)年の30年間に、全体の約半数を占める896市区町村が消滅する可能性があると指摘していた。

少子化危機直視したい

単純に比較すると、該当する自治体は150程度減少したことになるが、戦略会議は外国人の増加が要因としており、「少子化基調が全く変わっていない。楽観視できる状況にはない」と警鐘を鳴らした。

 

総務省によると、令和5年10月1日時点の日本の総人口は推計で1億2435万人となり、13年連続で減少した。

 

政府は一人でも多くの子供を産んでもらうことで、人口の落ち込みを緩やかにし、消滅可能性自治体を減らすことにつなげていかねばならない。そのためにまず政府は、将来維持したい日本の人口規模を示す必要がある。

 

安倍晋三政権時に、50年後、1億人程度の人口を維持するという目標を経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込んだことがあった。だがその後、骨太の方針から目標は消え、現在政府は目指すべき人口規模を示していない。

 

これでは、本腰を入れた少子化対策ができるわけがない。

 

戦略会議は今年1月、2100(令和82)年までに、総人口を8000万人の水準で安定させることを目指す「人口ビジョン2100」を発表した。これは現在の総人口の3分の2程度の規模にあたる。

 

人口ビジョンは、東京一極集中を是正し「多極集住型」の国土づくりを進めることや、内閣に司令塔となる「人口戦略推進本部」の設置なども掲げた。

 

政府の少子化対策である「こども未来戦略」は、2050年代に1億人を割り込むことを見通し、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、状況を反転させられるかどうかの分岐点であるとの認識を示している。だが、予測にとどまっており、これは人口目標とはいえない。

 

10年前と今回の両方の分析を中心となって行った日本郵政社長の増田寛也元総務相は24日、「(10年前から)危機感が広がらなかった」と語った。

 

これまでの取り組みには反省すべき点がある。10年前に消滅可能性のある自治体を公表したことで、当時の安倍政権が「地方創生」に取り組むきっかけになった。ただ、各自治体は移住促進策を進め、近隣自治体との間で人の奪い合いを展開するにとどまった。

過去の取り組み反省を

子育てしやすい環境を整えるのは大事だが、生まれる子供を増やすことの取り組みが日本全体で足りなかったということである。