自民党は政治資金の透明化と連座制から逃げるな | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の日経社説。

かなり説得的だが問題なしとしない。

 

政治の自由とは

政策立案・実施・検証等の面で発揮すべきであり、

「パーテイー券でのカネ集めの自由」、

とはき違えてもらってはこまる。

 

企業や団体からの政治献金は原則全面禁止であるべきだろう。

 

最後に、政治とカネの問題には、

単に政治資金の透明化や連座性などを超えた、

特に自民党を中心とする

世襲化・特権化という

本質的な問題が残っていることも忘れてはなるまい。

 

 

 

 

自民党派閥の裏金問題を受け、政治資金規正法の改正論議が本格化しつつある。組織的な資金還流や不記載を防ぐ抜本的な制度見直しが不可欠だ。収支の透明化と「連座制」を含む厳罰化が急務であり、事件を引き起こした自民党の及び腰の対応は許されない。

 

衆参両院は4月に入り、政治改革を集中討議する特別委員会をそれぞれ設置した。衆院は26日に特別委を初開催する。「政治とカネ」をめぐる不祥事の再発防止策は後半国会の焦点であり、与野党は今国会で法改正を実現するため議論を加速してもらいたい。

 

自民党は23日に所属議員を対象とする会合を開いて規正法改正の独自案を示したが、ここまでの対応はことごとく後手に回った。裏金問題の実態解明、関係者の処分、再発防止策をセットで実現しなければ、国民からの信頼回復は遠のくばかりである。

 

自民党の独自案は①国会議員関係政治団体の代表者(政治家)の責任厳格化と罰則強化②外部監査制度の強化③オンライン提出による透明性向上――が柱だ。

 

代表者に収支報告の「確認書」作成を義務付け、不記載収入の国庫納付を打ち出した。会計責任者が不記載や虚偽記載で処罰された場合の政治家本人への刑罰(公民権停止)は適用要件を限定した。

 

公明党は政治家と会計責任者の連帯責任をより明確にする「連座制」導入やパーティー券購入者の公開基準の引き下げなどを提案している。自民党は連座制の具体的な適用基準などをめぐる与党内の調整を急ぐべきだ。

 

野党は企業・団体による献金の全面禁止、パーティー券の購入禁止を主張し、政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開も求めている。自民党は慎重姿勢を崩していない。

 

1990年代の制度改革では企業・団体による政治家個人への献金を禁止する一方で、政党や政治資金団体への献金とパーティー券購入は認めた。こうした中途半端な制度改正が事実上の迂回献金を生み、今回の組織的な裏金づくりの遠因となった面がある。

 

今国会の6月の会期末まで約2カ月となった。政治資金の現金授受の禁止、収支報告のオンライン提出の義務化や情報一元化は一刻も早く実現すべきだ。与野党は政治活動の自由を損なわず、不正を監視しやすい制度の早期実現へ議論を深めてもらいたい。