掲題の今朝の読売社説。
かなり説得的。
もっとも、「人の振り見て
我が振り直せ」ということかもしれないが…。
中露は国際秩序を力で変更しようとしており、新興国の盟主を自任するインドの動向に注目が集まっている。「世界最大の民主主義国」の名にふさわしい行動を期待したい。
インドで543議席を争う総選挙(下院選)が始まった。国土が広大なため、投票は19日から6月1日にかけて地域ごとに行われ、6月4日に開票される。
現地メディアの事前の世論調査によると、モディ首相が率いる与党・インド人民党の大勝が予想されている。2014年から政権を担っているモディ氏の3期目入りが有力視されている。
政権への追い風となっているのが、好調な経済だ。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比で8・4%を記録した。人口は世界最多の14億人超に上り、平均年齢も28歳と若い。今後も成長の余地は大きい。
経済規模は現在世界5位だが、数年以内に日独を抜き、米中に次ぐ経済大国になる見通しだ。
インドは、世界の平和と安定に今まで以上に責任を負う立場となることを自覚する必要がある。
だが、総選挙を巡る政権の言動には強権的な兆候がみられ、国際社会に不安感を与えている。
インド政府は先月、近隣国からの不法移民に対し、審査の上でインド国籍を与える内容の改正国籍法を施行する、と発表した。
この法律は4年前に成立していたが、国籍付与の対象はヒンズー教徒などに限られ、少数派のイスラム教徒を除外している。このため「宗教差別」との反発が広がり、施行が見送られていた。
その国籍法を突然施行すると決めたことは、選挙を前に、人口の8割を占めるヒンズー教徒の信仰心に働きかけ、「ヒンズー至上主義」を掲げる人民党の支持を固める狙いではないのか。
先月下旬には、政権批判の急 先鋒
で知られる有力野党の指導者が汚職容疑で逮捕された。
新興国の代表的立場にあるインドで権威主義的な政治が横行すれば、多くの新興国や途上国で追随する動きが出かねない。インドの国際的なイメージの低下は避けられず、国益にも反しよう。
インドが問われているのは、民主主義の内実だ。民主主義国家の体裁をとっていても、法の支配や自由といった普遍的価値が尊重されなければ、インドへの信頼感を損なうことになる。
日本はインドとの良好な関係を生かし、その重要性をモディ氏に粘り強く訴えていくべきだ。