裏金再発防止策 自民党案示さぬ無責任 | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の昨日の東京社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民、公明両党が政治資金規正法改正に向けた実務者協議を始めた。大型連休明けに野党との協議に入り、6月23日までの今国会中に成立を図る。

 

 しかし、自民党は規正法改正案を自ら示さず、公明党との協議で与党案を取りまとめるという。組織的、継続的な多額の裏金づくりの当事者が自らの考えを示さないのは無責任極まりない。

 

 自民党総裁の岸田文雄首相は、今国会中の規正法改正実現を繰り返し言明し(1)議員本人への罰則強化(2)第三者による監査徹底(3)デジタル化による政治資金の透明化-を党内に指示していた。

 

 抜本改革には程遠い内容だが、この程度の再発防止策すらまとめられないのであれば、政権担当能力を欠くと言わざるを得ない。

 

 裏金事件を巡り、自民党は党内調査を行ったが、形ばかりにとどまった。衆参政治倫理審査会の開催には応じたものの、詳細な説明は避け、真相解明には至っていない。裏金づくりの経緯や実態が不明のまま、再発防止策を打ち出せるはずもあるまい。

 

 自民党が自ら案を示せば、野党側が求める企業・団体献金や政治資金パーティーの全面禁止などの抜本改革に消極的姿勢が際立つという計算もあるのだろう。だとすれば、自浄能力の欠如を自ら認めるに等しく、裏金事件を反省していないと断じるほかない。

 

 28日投開票の衆院3補選のうち自民党が候補者を擁立したのは島根1区にとどまるが、自民党候補のいない2選挙区でも最大の争点は「政治とカネ」だ。首相は「政治の信頼回復に向けた取り組みをしっかり訴えなければならない」と語るが、空虚に響く。

 

 自公協議では、会計責任者にとどまらず議員本人も処罰の対象になる連座制の導入や、政策活動費の使途公開義務化など、公明党の主張を自民党が受け入れるかどうかが焦点になる。

 

 「クリーンな政治」を掲げてきた公明党は厳しい姿勢で協議に臨むべきだ。妥協すれば、自民党と「同じ穴のムジナ」に見られることを覚悟せねばなるまい。

 

 自民党は再発防止策の内容を公明党と野党各党との協議に委ね、その結果を受け入れてはどうか。深刻な政治不信の元凶となり、自党の案すら示せないのであれば、もはや口出しする資格などない。