紅麹問題と機能性食品 事業者任せの制度検証を | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 

 健康食品が人々の健康を損なうようなことはあってはならない。安全対策はどうあるべきか。この機に考えたい。

 

 小林製薬の「紅麹(こうじ)」サプリメントを摂取した人の被害が広がっている。機能性表示食品として初の死亡例も確認された。

 

 

 成長戦略の一環で2015年に導入された制度である。国の審査が必要な特定保健用食品(トクホ)よりも規制を緩和した。安全性や有効性の評価を届け出るだけで済む。新規参入しやすくした。

 

 今回の健康被害は、制度が抱える課題を浮き彫りにした。

 

 まず製造工程がきちんと管理されていたかどうかだ。一部原料から、本来は含まれていない「プベルル酸」が検出された。青カビなどが混入した可能性が指摘されている。

 サプリに関して、消費者庁の指針は医薬品と同水準の品質管理が「強く望まれる」としている。だが、製造した大阪工場は、そうした体制になっていなかった。

 

 健康被害の情報を得た後の対応も問題が多かった。小林製薬は「調査に時間がかかった」などと釈明するが、1月中旬に最初の症例を把握してから、国に報告するまで2カ月以上かかった。

 食品衛生法は原因物質が特定できないようなケースで報告を義務付けていないこともあり、公表や回収の遅れにもつながった。

 

 効果の表示も、法律で厳しく規制される医薬品と違って、事業者任せの部分が大きい。医薬品のような治療効果をうたう表現は違法だが、「体脂肪が付きにくい」「血糖値上昇を抑える」といった消費者の目を引く宣伝は可能だ。

 医師や薬剤師の指導なしに入手できるため、過剰な摂取につながるリスクがある。

 

 機能性表示食品の商品数はトクホの6倍超の約7000点に上る。市場規模は推計約6800億円に膨らみ、海外にも販路は広がる。ひとたび健康被害が起きれば影響は大きい。

 

 消費者庁は機能性表示食品のあり方を検討するチームを発足させた。5月末までに方向性を示すとしている。

 

 国民の健康に直結する問題である。安心して摂取できる仕組みを整える必要がある。