ロシアで大規模テロ ISの脅威直視すべきだ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 ロック音楽の演奏を楽しみにしていた大勢の市民が凶弾に倒れた。卑劣なテロ行為であり、絶対に許すことはできない。

 

 惨劇の舞台となったのは、モスクワ近郊のコンサート会場だ。武装した男たちが自動小銃を乱射し、火を放った。130人以上が殺害され、180人以上が負傷した。地獄絵さながらの光景である。

 

 プーチン大統領は容疑者が「ウクライナへ移動しようとしていた」とゼレンスキー政権の関与を示唆したが、ウクライナ側は否定している。ロシアはテロを侵攻の正当化に利用すべきではない。

 

 ISはイスラム教スンニ派の組織で米欧やシーア派を敵視する。2014年にイラクで「建国」宣言し、一時はシリアの3分の1、イラクの4割の地域を支配した。

 米国を中心とする有志連合は掃討で共闘し、17年には主要な支配地域を奪還した。シリアのアサド政権を支援するロシアも、ISへの激しい攻撃を繰り返した。

 

 米軍が21年、アフガンから撤退する際、ISの復活が危惧された。実際に自爆テロが相次ぎ、21年にカブールで市民ら200人近くが殺害され、今年1月にはイランで約100人が犠牲になった。

 米国は01年の同時多発テロ以降、「テロとの戦い」を最優先し、ロシアも協力した。だが、ウクライナ侵攻で両国の対立が深まるすきを突く形で、ISは中東やアフリカで活動を活発化させている。

 

 ISの脅威は過去のものではない。世界はそれを思い知った。国境を越えたテロを防ぐには、国際協調が不可欠である。

 

 プーチン氏はテロの脅威を直視すべきだ。ウクライナでの蛮行をやめ、ISとの戦いで米欧などと協力しなければならない。