掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
ロック音楽の演奏を楽しみにしていた大勢の市民が凶弾に倒れた。卑劣なテロ行為であり、絶対に許すことはできない。
惨劇の舞台となったのは、モスクワ近郊のコンサート会場だ。武装した男たちが自動小銃を乱射し、火を放った。130人以上が殺害され、180人以上が負傷した。地獄絵さながらの光景である。
プーチン大統領は容疑者が「ウクライナへ移動しようとしていた」とゼレンスキー政権の関与を示唆したが、ウクライナ側は否定している。ロシアはテロを侵攻の正当化に利用すべきではない。
ISはイスラム教スンニ派の組織で米欧やシーア派を敵視する。2014年にイラクで「建国」宣言し、一時はシリアの3分の1、イラクの4割の地域を支配した。
米国を中心とする有志連合は掃討で共闘し、17年には主要な支配地域を奪還した。シリアのアサド政権を支援するロシアも、ISへの激しい攻撃を繰り返した。
米軍が21年、アフガンから撤退する際、ISの復活が危惧された。実際に自爆テロが相次ぎ、21年にカブールで市民ら200人近くが殺害され、今年1月にはイランで約100人が犠牲になった。
米国は01年の同時多発テロ以降、「テロとの戦い」を最優先し、ロシアも協力した。だが、ウクライナ侵攻で両国の対立が深まるすきを突く形で、ISは中東やアフリカで活動を活発化させている。
ISの脅威は過去のものではない。世界はそれを思い知った。国境を越えたテロを防ぐには、国際協調が不可欠である。
プーチン氏はテロの脅威を直視すべきだ。ウクライナでの蛮行をやめ、ISとの戦いで米欧などと協力しなければならない。