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米国債は下落、10年債入札の需要が低調で下げ幅拡大
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市場はFOMCが年内に利下げを実施できるとなお予想
12日の米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は最高値を更新した。朝方には一時下落する場面もあったが、持ち直しを見せた。米消費者物価指数(CPI)統計は、市場で広がる年内利下げの観測を変えるには至らなかった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5175.27 | 57.33 | 1.12% |
ダウ工業株30種平均 | 39005.49 | 235.83 | 0.61% |
ナスダック総合指数 | 16265.64 | 246.37 | 1.54% |
テクノロジー株が上げを主導した。オラクルは12%の急伸。前日の引け後に発表した決算で、クラウドコンピューティング事業での受注増加が示された。エヌビディアは7%高。一方、ボーイングは3日続落し、年初来の下落率が30%近くに拡大した。
2月のCPI統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月に続き、市場予想を上回る伸びを示した。インフレを2%目標近くに戻そうと努めている米金融当局にとって、これは理想的な内容ではないが、インフレ統計発表後に再び相場が荒れることを恐れていたトレーダーらに衝撃を与えるほどではなかった。
米コアCPI、2カ月連続で伸びが予想以上-利下げ慎重論を補強 (3)
クリアブリッジ・インベストメンツのディレクター、ジョシュ・ジャムナー氏は「CPI発表前には非常に強い数字が示されるとの警戒が広がっていたが、それが現実のものとならなかったため、相場が押し上げられたようだ」と指摘。「全体的には、ディスインフレのプロセスに関するこれまでの理解とおおむね一致する内容だったことから、今回の統計が市場に及ぼす影響は比較的小さいはずだ」と述べた。
株式相場はCPI発表直後に変動が大きくなった後は、相対的に落ち着きを取り戻し、買い進まれた。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、今回のCPI統計は根強いインフレという筋書きに新たな息吹をもたらすかもしれないが、これで実際に利下げ時期が遅くなるかどうかは別の話だと指摘。「『根強い』は必ずしも『過熱』を意味しない」と述べた。
米CPI、インフレ抑制「最後の1マイル」伸びた-市場関係者の見方
リーガン・キャピタルのスカイラー・ウィナンド氏は、「企業業績とインフレ、金利が正しい方向に向かいつつある中、相場の勢いを止め得るものを見つけるのは難しい」と話した。
S&P500種に採用されている企業の今年の利益は予想を上回ると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは予測した。底堅い経済成長に加え、人工知能(AI)の発展が原動力になるとみられている。
オースン・クウォン氏とサビタ・スブラマニアン氏を含むBofAのチームは、1株当たり利益予想を235ドルから250ドルに引き上げ、BMOキャピタル・マーケッツやドイツ銀行と並び、ブルームバーグが追跡しているストラテジストの中でも特に楽観的な見通しを示した。
S&P500企業の利益予想引き上げ、景気やAIが原動力に-BofA
米国債
米国債は下落。390億ドル(約5兆7600億円)規模の10年債入札で需要が低調だったこともあり、下げ幅を拡大した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.31% | 5.0 | 1.19% |
米10年債利回り | 4.15% | 5.2 | 1.28% |
米2年債利回り | 4.59% | 5.0 | 1.11% |
米東部時間 | 16時57分 |
トレーダーらは連邦公開市場委員会(FOMC)が昨年12月に金利予測で示したように2024年に0.25ポイントの利下げが3回以上実施されるとなおみている。ただし、6月の初回利下げ確率は約70%にやや後退。今年の利下げ幅予想も約80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に縮小した。
リーガン・キャピタルのウィナンド氏は、株式相場は上昇しているが、米国債利回り曲線は逆イールドが続いており、今年の景気をなお懸念している投資家が多いことをうかがわせると指摘。
「リセッション(景気後退)が起きれば、当然ながら利回り曲線はスティープ化して順イールドになるだろうが、リセッションにならなくても、利回り曲線は今年スティープ化する可能性があると考える。投資家はソフトランディングは達成できるといずれ認識し、そうしたセンチメントの変化で10年債利回りが2年債利回りを上回ることはあり得る」と述べた。
外為
外国為替市場ではドルが値上がり。米国債利回りの上昇が背景にある。
ドルは対円でも買われ、一時0.8%高の1ドル=148円12銭を付けた。日本銀行の植田和男総裁が「食料品、日用品などの非耐久財消費に弱めの動きがうかがわれる」と述べたことも円を圧迫した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1230.50 | 1.22 | 0.10% |
ドル/円 | ¥147.66 | ¥0.71 | 0.48% |
ユーロ/ドル | $1.0927 | $0.0001 | 0.01% |
米東部時間 | 16時57分 |
原油
ニューヨーク原油相場は4営業日続落。この日は根強いインフレを示した米CPIに金融市場全体が振り回された。石油輸出国機構(OPEC)は供給削減が滞っていることを報告で明らかにした。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は比較的大きな変動を経て、バレル当たり78ドルを下回って引けた。北海ブレント原油は反落し、82ドルを割り込んだ。OPECの月報によれば、イラクの産油量が2カ月連続で割当量を上回った。
OPECの石油供給削減は停滞、イラクが生産枠上回る供給を継続 (1)
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は2月の米CPIについて、予想をわずかに上回る数字が米政策金利を巡る「状況を揺るがしはしないだろう」と話す。「全体的に見て、この統計が考え方に影響する可能性は低い」と述べた。市場では来週のFOMCについて、5会合連続となる金利据え置きが広く予想されている。
原油価格は今年に入って上昇傾向にあるが、強気と弱気の綱引きで一進一退となっている。OPECプラスの供給削減を他の産油国の増産が相殺する中、中国需要に対する不安も根強い。今週は国際エネルギー機関(IEA)も市場分析を報告する。
今年の米原油生産、日量1319万バレルに-政府が予想を上方修正
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は、前日比37セント(0.5%)安の1バレル=77.56ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は0.4%下げて81.92ドル。
金
金現物相場は過去最長となった9日続伸から反落した。米CPIのコア指数が2カ月連続で予想を上回ったことで、利下げに対するFOMCの慎重姿勢が裏付けられた。
TDセキュリティーズの商品戦略責任者、バート・メレク氏は「2月の米CPIは予想より強かった」と述べた。「このことから考えられるのは、FOMCはまだ利下げの段階ではないらしいということだ」と話した。
米金融政策が長らく待たれている緩和転換を果たせば、国債のような利回りのある金融商品との比較で、金投資の妙味は高まる。インフレが2%の目標に向かっている証拠が増えるまで、政策当局者らは利下げを見合わせている。
MKS・PAMPの金属戦略責任者、ニッキー・シールズ氏は金相場について、「穏やかなインフレはなおも支援材料だ。市場は6月の米利下げを今も予想しており、今回の統計はその見方を変えるほど悪くはない」と述べた。
金相場は今月に入り大きく上昇し、過去最高値の更新を繰り返した。しかし突然の上昇について、その幅とスピードは明確な根拠を欠いていると、疑問を抱く市場参加者は少なくない。
それでも金は、中国をはじめとする新興市場国の中銀による大量購入などに支えられてきた。パレスチナ自治区ガザから紅海といった中東の緊張に加え、ロシアとウクライナの戦争といった地政学的リスクの上昇も、逃避先資産としての金の妙味を強固にしている。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時51分現在、前日比26.51ドル(1.2%)下げて1オンス=2156.24ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は22.50ドル(1%)下げて2166.10ドルで終了した。
原題:Stock Traders Bracing for Worst Shrug Off Hot CPI: Markets Wrap(抜粋)
Stock Traders Bracing for Worst Shrug Off Hot CPI: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Extend Declines After Weak Demand for 10-Year Sale(抜粋)
Dollar Firms After Higher Than Expected Core CPI: Inside G-10(抜粋)
Oil Slips as OPEC Supply Cuts Stall Out, US Inflation Persists(抜粋)
Gold Extends Loss as US Inflation Data Reinforces Fed Caution(抜粋)