設備投資16.4%増、10〜12月 自動車や半導体で生産強化 | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の日経ウェブ記事。

これはかなりのポジティブ・サプライズといえる。

 

法人企業統計の設備投資はGDPの設備投資推定にとって、

最重要な要素の一つであるため、

不振が続いてきた(鉱工業生産の中の)資本財出荷を反映して

GDP1次速報値では企業設備投資が

3期連続の前期比マイナスに陥ったと推定されていたが、

来週月曜日(11日)公表予定のGDP2次速報では、

インフレを加味した実質ベースでも企業設備投資の

3期ぶりの前期比プラス成長転換が予想される。

 

このため、2次速報ではGDP全体も

1次速報値のマイナス成長からプラス成長へと

上方修正となることが予想される。

 

良いニュースとしては、

そうなると2期連続のマイナス成長という日本経済の

リセッション(景気後退)入りは免れることになろう。

 

しかし、逆にGDPギャップはGDP2次速報で

総需要が総供給を超える真性の

インフレ・ギャップ(正のGDPギャップ)に転じるかもしれない。

 

いずれにしても、日本経済はGDP1次速報でも2次速報でも、

インフレの中にあることはGDPデフレーターの大幅上昇で明らかであり、

加えて、財・サービス市場における需給全体も

インフレギャップに転じているとなれば、

金融政策の正常化はいよいよ待ったなしということになろう。

 

もっとも、巷の噂通りにカメレオンのように

政府の番犬に徹するかのような植田日銀が、

金融政策の正常化を信頼できるやり方で実施することは期待できまいが…。

 

(余談だが、そのうえ、財政政策に関しては、

植田日銀は岸田政権に一切注文を付けていないのも問題。

金融政策だけで日本経済を制御できるとでも思っているのだろうか…?)

 

いずれにしても、ご参考まで。

 

r5.10-12.pdf (mof.go.jp)

 

 

財務省が4日発表した2023年10〜12月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)のソフトウエアを含む設備投資は14兆4823億円で、前年同期と比べて16.4%増えた。自動車や半導体関連の業種で、生産体制を強化する動きが相次いだ。

 

設備投資は製造業、非製造業とも前年同期より増えた。全産業の設備投資額は10〜12月期として過去最高だった。季節調整済みの前期比では10.4%伸びた。

 

経常利益は前年同期比13.0%増の25兆2754億円だった。利益額は10〜12月期として過去最高を更新した。

 

設備投資は製造業で20.6%伸びた。半導体や電子部品などを製造する情報通信機械が65.8%、自動車などの輸送用機械も30.2%それぞれ増加した。製造ラインの拡張や新しい生産拠点の整備など生産体制強化のための投資が増えた。

 

非製造業は14.2%高まった。情報通信業は39.8%増で全体を押し上げた。新たな基地局の整備といったネットワーク関連設備の増強が続いた。鉄道や航空機などの新型輸送用機材の導入があった運輸業や郵便業は28.0%増となった。

 

法人企業統計の四半期ごとの結果を基に計算すると、23年4〜12月期の設備投資は前年同期比8.4%高まった。財務省と内閣府が23年12月に公表した法人企業景気予測調査では23年度の全産業の設備投資が前年度比11.1%増える見込みだ。

 

経常利益を業種別にみると、製造業が19.9%増えた。供給制約の緩和による増産が進んだ輸送用機械が80.7%の増益を確保した。

 

非製造業も9.5%の増益だった。宿泊や飲食などのサービス業が38.1%プラスとなった。新型コロナウイルス禍からの回復に加えて価格転嫁が進んだことが影響した。発電燃料価格の下落により電気業も増益に転じた。

 

売上高は4.2%増の388兆2060億円となった。製造業では輸送用機械だけでなく、価格転嫁が進んだ食料品が18.9%の増収だった。

 

財務省の担当者は「景気が緩やかに回復している状況を反映した」と説明した。先行きに関し、中国など海外景気の下振れや物価上昇の影響を注視したいと述べた。