ヘッジファンドが日本に照準-日銀によるマイナス金利解除が視野に | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝のブルーンバーグ記事。
ご参考まで。
 
なお、記事の信憑性はともかく、
日本円と日本株はこれらグローバルヘッジファンドの
カモにされるかもしれない。
 
資金量が巨額なだけに、
先物やオプションなどのデリバテイブ取引で、
レバレッジを効かせて、
超短期では市場の支配力を持ちうるからだ。
 
もっとも、ほとんどがオーバーナイトしない、
超短期のトレーダーがほとんどと見られる。
 
いずれにしも、ご参考まで。
 
 
Matthew Griffin、Katherine Burton

  • 日本株は年初から大幅上昇-賃金の伸びに加速の兆し

  • 東京は長期的な強気相場にある世界で唯一の市場かも-ベセント氏

The Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan

The Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan

 Photographer: Kosuke Okahara/Bloomberg

マクロヘッジファンドと株式ヘッジファンドは今年、日本に照準を合わせている。日本銀行が約8年間続けているマイナス金利政策を転換すると、ファンドはみている。

  日経平均株価は年初から急伸しており、1989年に付けた史上最高値に近づきつつある。日本経済が2四半期連続のマイナス成長となったことで利上げ時期が先延ばしされる可能性はあるが、投資家は、インフレが加速すれば近くマイナス金利は終了するとなお予想している。

  マクロファンドであるキー・スクエア・キャピタル・マネジメントのスコット・ベセント最高経営責任者(CEO)は「東京は、長期的な強気相場の局面にある世界で唯一の市場かもしれない」と指摘した。同氏は日銀が3月ないし4月に利上げする可能性が高いとし、それにより株価と円は上昇すると予想した。

  通常、利上げは景気を冷ますが、ベセント氏は1月の投資家宛て書簡で、日銀は利上げにより意図せず成長を刺激する可能性もあるとの見方を示した。

  ソロス・ファンド・マネジメントで最高投資責任者(CIO)を務めたベセント氏は日銀の利上げについて、日本の銀行の融資を促すほか、超低金利やマイナス金利の環境に置かれてきた現金の豊富な家計に恩恵をもたらす可能性があると指摘。利上げが日本経済を押し上げるとの見方を基に、ベセント氏は1年物と10年物の利回り上昇を見込んだ金利スワップのポジションを構築している。

  株式運用者もまた、日本株の上昇継続を予想している。日本株はこれまでも既に、中国・香港の株式から資金を引き揚げた投資家の恩恵を受けてきた。

  インダス・キャピタル・パートナーズのジェームズ・シャノンCEOは、日本の上場株式の長期的な見通しは「われわれの投資キャリアの中で有数の優れた内容になっている」と語った。

  インダスの汎アジアヘッジファンドは、ネットエクスポージャーの半分余りが日本となっており、比率は2020年1月の19%から上昇した。4年前は、ネットエクスポージャーの約半分を中国と香港が占めていた。だがその後、中国株が長期低迷する中で比率はゼロとなった。

  日本経済は昨年に転換期を迎えたと、シャノン氏は指摘。賃金上昇ペースに加速の兆しが見られ、それがインフレを押し上げると同氏はみている。企業の経営状況は強固で、投資を増やしているほか、配当や自社株買いも拡大している。

Japan Stocks Soar as China's Swoon

 

 

マクロファンドの動き

  多くのマクロファンドは2023年に既に、利上げとそれに続く円の上昇に賭けていた。だが円は昨年、ドルに対して7%下げ、円上昇に賭けた取引は大きな損失を生むこととなった。

  システマティック・マクロファンドであるテクメリオン・キャピタル・マネジメントのザッカリー・スクワイアCIOは、昨年同社では逆に円の下落を見込んだ取引を行い利益を上げたことを明らかにした。

  日銀の動きに関して「昨年われわれは非常に懐疑的だった」と説明。持続的・安定的な2%の物価目標を実現するまでマイナス金利の解除はないと、日銀は明確にしていたと付け加えた。

  スクワイア氏は、日銀がマイナス金利をゼロにまで引き上げる可能性はあるとしつつ、近い将来の本格的な引き締めは見込んでいないと説明。景気は過熱しておらず、低金利環境は株式市場と長期債に恩恵をもたらしていると指摘した。

原題:Hedge Funds Bet on Japan With an End to Negative Rates in Sight(抜粋)