自民裏金対応 小出しで ごまかすな | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
「マネー資本主義を制御せよ!」、
「緩和バブルがヤバい」、
「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の朝日社説。

極めて説得的。

ご参考まで。

 

 

   裏金の実態解明は国民の信頼回復の第一歩であり、政治資金の流れを透明化する制度改正の議論の前提だ。遅くとも、今国会が始まるまでに済ませておくべき調査を小出しにするとは、予算案の審議に支障がないよう「やってる感」を印象づける狙いがあると疑われても仕方あるまい。

 

 自民党は一昨日、衆院予算委員会の開会に先立ち、派閥の政治資金パーティーをめぐり、政治資金収支報告書を訂正した議員らのリストを野党に提示した。

 

 安倍派91人と二階派7人の計98人だが、訂正額が記されただけで、不記載だった理由や、裏金の使途には全く触れていない。公表済みのデータを単に一覧にしただけだ。収支報告書の不記載罪の公訴時効の期間に合わせ、野党は過去5年分を求めていたが、出してきたのは3年分。誠実さのかけらも感じられない。

 

 岸田首相は追加的な措置として、先週から始めた党幹部による関係者への聞き取り作業を週内に終えるとともに、全所属議員を対象にしたアンケートの結果を来週早々にとりまとめると表明した。

 

 しかし、身内による調べで真相に迫れるとは到底思えない。聞き取りには、外部の弁護士も参加しているというが、第三者による独立した調査ではない。安倍派の裏金は長年の慣行で、会長案件だったともいわれる。元会長で、いまも派閥に強い影響力を持つ森喜朗元首相からも事情を聴くのが当然なのに、首相は煮え切らないままだ。

 

 アンケートに至っては、収支報告書への記載漏れの有無と、過去5年の不記載額の記入を求める2問だけで、不記載の経緯も、そのお金の使い道も尋ねていない。全員を対象に聴きました、という外形をつくるだけではないか。

 

 首相の小出しは、政治資金規正法の改正に対する態度もそうだ。当初は「選択肢」にとどめ、政治刷新本部の「中間とりまとめ」の「すみやかな法整備」を経て、一昨日の予算委で「今国会中の実現」を明言した。はなからやらねばならないことはわかりきっていたはずなのに、姑息(こそく)な対応ではないか。

 

 しかも、法改正の中身については、いまだに具体的な提案がない。自民党が時の幹事長に年約10億円を渡している政策活動費の使途公開についても、「党の戦略的な方針が、他の政治勢力や諸外国に明らかになる」などと、かたくなに拒み続けている。

 

 「火の玉になって」「党の先頭に立って」。言葉は躍るが、首相のやる気は一向に見えてこない。