今朝の日経社説。
かなり説得的。
もっとも、今の日本株価はバブルか否かと問われれば、
同社説は客観的な「リトマス試験紙テスト」に
パスできるのだろうか。
いずれにしても、ご参考まで。
株式相場が堅調に推移している。今年から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まったこともあり、個人の株式投資への関心は高まっている。「貯蓄から投資へ」の流れを太く着実なものとするため、市場と個人をつなぐ証券会社も自らの信頼向上に努めなければならない。
三井住友フィナンシャルグループ傘下のSMBC日興証券は、近藤雄一郎社長が退任し後任に吉岡秀二専務執行役員が就任する人事を発表した。SMBC日興証券は株価を意図的に動かす相場操縦で金融庁の行政処分を受け、近藤社長のもとで法令順守体制の強化などを進めてきた。
社長交代は経営改革にメドがついたことを受けての決定だ。吉岡氏は記者会見で「しつこく法令順守強化に取り組み、再建への道筋を完遂する」と述べた。有言実行あるのみである。
今年1月にはネット証券最大手のSBI証券が、新規株式公開(IPO)に絡んで株価を操作したとして、金融庁から業務停止命令を受けている。IPOは個人投資家の関心がことのほか強い。SBI証券には徹底した再発防止策を講ずるよう求める。
バブル崩壊後の日本の株式市場をふり返れば、証券会社による不祥事が発覚し、個人が株式投資への不信を募らせることがくり返し起きた。日経平均株価の史上最高値更新が視野に入りつつある今もなお、証券会社の悪弊が改まりきっていないと思わせる事例が続くのは残念だ。企業の資本調達にも影響が出かねない。
証券会社は市場の健全な発展に尽くし、個人の資産形成を後押しするという社会的な責務を担っている。株式売買注文の手数料をゼロ、あるいはゼロ近くまで下げる措置を競い合うだけでは、株式市場を中長期の資産形成の場として活性化することはできない。
主要18証券の2023年4〜12月期決算は、株高や新NISAが追い風となり、おおむね好調な内容だった。しかし「リテール」と呼ばれる個人向け営業部門は収益回復が遅れたり、新しい営業手法の確立に時間がかかったりする会社も散見された。
きめ細かな資産形成の助言などにより、個人からの預かり資産を増やす地道な努力が欠かせない。「信頼」こそが証券業が繁栄するための最大の基盤であることを、改めて確認したい。