掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
野党の存在意義が問われる局面である。自民党派閥の裏金事件で国民が政治不信を募らせている。国会審議を主導して、政治改革に向けた道筋を付ける時だ。
「政治とカネ」が一大焦点の国会で、岸田文雄首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が衆院で行われた。立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党が、実態解明や政治資金規正法改正を求めた。
昨秋の臨時国会では維新と国民民主が政府の補正予算案に賛成し、野党の足並みが乱れた。今国会では冒頭からそろって自民と対決する構図となっている。
自民安倍派は政治資金収支報告書を訂正し、計約6・7億円の不記載が判明した。だが、裏金作りが始まった経緯は解明されておらず、使途は不透明だ。
野党は自民全議員の調査と安倍派幹部らの国会招致を求めた。首相はあいまいな答弁に終始したが、早期実現に向けて結束を強めなければならない。
政治資金の透明性を高める抜本的法改正も不可欠だ。立憲の泉健太代表は「まっとうな政治改革案を作ろう」と与野党に呼び掛けた。
国民民主の玉木雄一郎代表は「国民が怒っている理由の一つは会計責任者だけ責任を問われることだ」と、政治家も処罰対象となる制度の導入を訴えた。
共産の志位和夫議長は「金の力で政治をゆがめる」として、パーティー券購入を含めて企業・団体献金の禁止を迫った。立憲、維新も同じ立場だ。
使途の記載義務がなく不透明な政策活動費については、立憲、維新、共産が廃止、国民民主が使途公開を主張している。
これに対し自民は具体案を示しておらず、首相は「各党と真摯(しんし)に議論する」と繰り返すばかりだ。野党は一致して改革実現の流れを作らなければならない。
「自民1強」の下でも、野党が政治を動かした例がある。一昨年の臨時国会では反目していた立憲と維新が国会で共闘し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題で被害者救済法を成立させた。
野党の主な役割は政府をチェックすることだ。政治に緊張感をもたらすことで、政界の金権体質の一掃につなげなければならない。