掲題の今朝の毎日社説。
かなり説得的。
ご参考まで。
能登半島地震で多くの被災者が厳しい避難生活を送る中、6400人以上が亡くなった阪神大震災から29年の節目の日を迎えた。
![一面が火災で焼けた観光名所「朝市通り」周辺=石川県輪島市で2024年1月3日午後3時56分、山中尚登撮影](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/01/17/20240117ddm005070121000p/9.jpg?1)
大震災に関し、中央防災会議は「教訓と対策」をまとめた。老朽住宅が密集した市街地の火災で多くの被害が生じた▽情報が迅速に集約できず、初動体制に遅れが生じた▽道路の損壊などで物資の輸送や負傷者の搬送に支障が出た--などの反省点が挙げられた。
都市部と過疎地域という違いはあるが、今回も共通する課題が浮かび上がった。
震源地に近い石川県・奥能登地方の孤立地区では、電話がほぼ使えず、阪神大震災以後に重要な情報インフラとなったインターネットもつながらなくなった。国や自治体による被害の把握が思うように進まなかった。
神戸市長田区などで起きた火災と同様、朝市で知られる同県輪島市の密集市街地で多くの建物が焼失した。今回も消火栓の多くが使えなかった。
国の2020年度のまとめでは、東京、大阪など主に大都市部だけでも危険密集地は100カ所以上残っていた。対策を加速する必要がある。
阪神大震災では発災から1年余りで約140万人のボランティアが駆けつけ、暮らしを支える大きな力になった。「ボランティア元年」と呼ばれる。
能登では、通行可能な道路に緊急車両や避難市民の車両が集中し大渋滞を招いた。こうした事情もあって、各自治体は、一般のボランティアの来訪を控えるよう呼びかけてきた。
だが、復旧・復興に際して民間の力が必要になるのは明らかだ。過疎地に適したきめ細かい取り組みに知恵を絞っていきたい。
震災体験者による支援も重要だ。兵庫県からは「震災・学校支援チーム」の教職員が石川入りして活動している。避難所の運営を手伝いつつ、学校の再開を支援する。被災した子どもたちに寄り添う力になってほしい。
被災者への支援と地域の再生に向けて、これまで積み上げてきた経験を生かしていく必要がある。