地域の人口減少 暮らしの基盤が揺らぐ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の昨日の東京新聞社説。

かなり説得的。

ご参考まで。

 

 2050年の地域別将来推計人口が公表された。東京都以外の46道府県では人口減少が止まらず、全国共通の課題となっている。ほかの地域と移住者を奪い合っては課題を克服できない。少子化による人口減による危機感を共有し、地域づくりに知恵を絞りたい。

 

 国立社会保障・人口問題研究所によると、50年時点の全国人口は20年に比べて17%減の1億468万6千人。市区町村の約2割で住民が半数未満に落ち込む。

 

 東京都は2・5%増だが、東京以外の関東地方は約2~1割、中部地方では約3~1割減る。

 

 人口が減ると地域社会を支える人手が不足し、経済が縮小する。暮らしの基盤が揺らぎ、自治体そのものの維持も困難になる。少子化対策と東京一極集中の是正を進めなければならない。

 

 地方の課題は若い世代の都市部への流出だ。賃金などの待遇に男女差が残り、好待遇を求めて地方を離れる女性も多く、「共働き・共育て」の実現が少子化に歯止めをかける鍵を握る。自治体と企業には女性に魅力のある雇用の場を増やすよう求めたい。

 

 14年、将来の人口減を放置すれば生活が維持できなくなる「消滅可能性都市」が続出するとの民間リポートが公表された。政府は地方に雇用を創出し、都市部から地方への人の流れをつくる地方創生を掲げ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。

 

 消滅可能性を指摘されながら、積極的な少子化対策で人口増に転じた東京都豊島区などの例はあるが、人口減は全国規模でより深刻化している。その原因は何か、対策の検証が必要だろう。

 

 この間、自治体間で移住者の奪い合いになった面も否めない。どの地域に住んでも、子育てをし、働くことができる環境を整える手だてを考えるべきではないか。

 

 人口が当面増える東京都にも課題がある。若年層が流入しても出生率が全国最低にとどまれば、次世代が増えるとは考えにくい。実際、推計人口でも40年以降は減少に転じる。子育てしやすい環境の整備は東京でも急務である。

 

 人口減社会と向き合うために、政府や自治体、企業、私たち自身が現実を直視し、危機感を共有することから始めたい。眼前の危機を乗り越えるには、従来の発想にとらわれず、働き方や社会の在り方を変える取り組みが必要だ。