掲題の昨日の東京新聞コラム。
かなり興味深く、説得的。
東北地方で生まれ育った筆者は、
残念ながら北陸地方とは縁が薄いのだが、
なぜか、母方の祖父の相撲好きが遺伝しているためか(笑い)、
サッカー等に続く大の相撲ファンで、特に、
なぜか昔から相撲巧者の遠藤ファン。
大関に昇進してきていたころからは、
最近では、朝乃山の大ファンだ。
もっとも、遠藤への応援も無論止めてはいない。
今日から初場所がはじまるという。
北陸をはじめとして日本全土の
「地の悪霊を踏みつけるべく四股を踏む姿」で、
土俵での大躍動を期待したい。
相撲の盛んな石川県が生んだ力士と言えば、第54代横綱輪島を思い浮かべる人もいよう。能登半島の七尾市出身で、第55代横綱北の湖と競って昭和に一時代を築いた。さらにさかのぼって江戸時代には、第6代横綱の阿武松緑之助(おうのまつみどりのすけ)がいた▼奥能登の能登町の貧しい家に生まれ、江戸のこんにゃく屋に奉公していたが、体に恵まれ、人の勧めで角界入り。出世は、農民の子から天下人になった豊臣秀吉に比せられた▼人柄は温厚で偉ぶるところもなく、江戸っ子の人気者になったという。大食漢ぶりをネタにした落語『阿武松』も生まれている(小島貞二著『大相撲名力士100選』)▼能登半島地震が起きてから10日余。大相撲初場所があす、初日を迎える。被害の大きい穴水町出身の幕内の遠藤は祖父らの無事を確認したが、実家の近くまで津波が迫ったといい「いつものように元気な相撲を取って(人々を)勇気づけられるのであれば」と語る▼津幡町出身で新入幕の大の里や隣県の富山市出身の元大関朝乃山らも期するものがあろう。故郷は余震がやまず、いまだ混乱の中だが、こんな難局だからこそ天下泰平を祈る国技が担う仕事はある▼横綱阿武松は色白のあんこ型。力が入ると体は朱に染まったという。地の悪霊を踏みつけるべく四股を踏む姿などを見たくなるが、きっと代わりに後輩たちが土俵で躍動してくれるだろう。