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22日の債券相場は下落。長期金利は日本銀行のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)運用柔軟化後の高値を更新し、2014年1月以来約9年半ぶりの水準に上昇した。米国の長期金利の上昇を受けた売りに加え、日本銀行の植田和男総裁が岸田文雄首相と会談したと伝わったことも相場の重しになった。
植田総裁は会談後、為替相場の変動についての議論は特になかったと述べた。両者の会談は植田総裁の就任直後の4月10日に行われて以来となる。
岸田首相と経済金融情勢巡り意見交換、為替議論はなし-日銀総裁
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、日銀総裁と首相が会談したことで「日銀が機動的に国債買い入れオペを打ちにくくなるとの連想が働きやすい」と語る。日銀が金利上昇を抑制するために臨時の国債買い入れを行うと、日米金利差が広がり円安が進むとの見方が背景にある。
新発国債利回り(午後3時時点)
先物 | 2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
146円40銭 | 0.025% | 0.235% | 0.665% | 1.395% | 1.665% | 1.835% | |
前日比 | 6銭安 | 横ばい | +1.0bp | +1.5bp | +1.5bp | +1.0bp | +1.0bp |
21日の米10年国債利回りは一時4.35%と2007年11月以来の高水準となった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は25日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで講演する。市場は発言がタカ派的な内容になると警戒している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、長期金利が約9年半ぶりの高値を更新したことについて「米国金利の上昇を素直に反映してYCC柔軟化後の金利高値を突破していった印象だ」と指摘した。
日本銀行は午前の金融調節で10年国債を1%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペを通知。債券先物の決済に使われる受渡適格最割安銘柄(チーペスト)対象の同オペも継続した。