かれこれ十数年も前のことですが。
破産手続を手がけていたところ、その依頼者がスーパーで万引きをしてしまいました![]()
破産手続には、総仕上げとして裁判所にどうしても行っていただかなければならない日があるのですが、その期日は折しも警察のご厄介になっている真っ最中で、とてもご本人は行けそうにありません。
かといって私が代理と称して行っても用は足りません![]()
さて、どうしたものか。
ここで、「借金を踏み倒して人生をやり直す立場にありながら、反省もなしに万引きするような不届者の手続は辞任すべきではないか」という考え方もあるかと思います。
若かった私も、そうした方向にかなり傾いていました![]()
しかし、待てよ。
ここで自分が見捨てたら、あの人はどうなる?
たしかに万引きは犯罪で、ぜったい正しくないことだけど、そこまで追いつめられた人間を自分の立場で切り捨てるのは、はたして正しいことだろうか![]()
こうした葛藤もまた若さゆえですが、まずは依頼者のお父さんに電話して様子を聞いてみることにしました。
「先生お願いします、お願いします、報酬は親の私が必ず支払いますから、どうか最後まであの子の面倒をみてやってください」
――終始この調子で来られては、なかなか背を向けるわけにもいきません![]()
次いで、経験豊富な先輩司法書士に訊いてみることにしました。
そうしたら、さすが!
こんなケース全国でもこの1件ぐらいではないかと思っていましたが、なんとその先輩も少し前に同様の事態を味わったことがあり、「裁判所に上申書を提出して期日を延ばしてもらう」という対処法を教えてくださいました![]()
先輩のケースはそれでうまくいき、なんとか免責(借金チャラ)の決定も得ることができたとのことです。
万引きなんかしたヤツが借金を免除してもらえるなんてズルくない?
というのはみなさんあるでしょうけどね。
裁判所の心証も、ものすごーく悪いとは思いますけどね。
ただそこは天下の裁判官、破産手続と万引きとは別問題ということで、クールに切り離してくださるのでしょう![]()
ということで、私の関わったケースも先輩のお見立てどおりの結果を得ることができました。
釈然としない部分はもちろんありますが、とりあえずはめでたしめでたしということで![]()
しかしその後いくら経っても、依頼者が私に報酬の残金を支払ってくることはありませんでした。
ご本人はもはや電話に出ようとしないので、例のお父さんに電話してみたところ。
「はあ? そんなの子どもの問題なんだから、私には関係ないでしょう」
ガチャン![]()
いやはや、経験値をたっぷり上げさせていただいたということで![]()
じつは、そんな苦い記憶を呼び覚ましてくれる事態が、このたび起こってしまいました。
万引きとはちょっと違うけど、依頼者によるヤラカシふたたび![]()
さてさて、もう若くないこの私は、いったいどんな風に対処していくのでしょう![]()