黄金期の浮世絵絵師たち展 前期・後期 | けろみんのブログ

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鳥居清長の楚々たる八頭身美人、喜多川歌麿の濃艷な女性美、鳥文斎栄之の品格ある美人画による寛政三大美人画絵師に加え、個性豊かな写楽の役者絵や勝川派、歌川派の台頭により浮世絵界は更に百花繚乱、大首絵、雲英摺、制作数および、現存数の希少な作品群が52点、






前期にはひな祭りに因んだ特別出展「ひな飾り」もある。見応えたっぷりで素晴らしい!






18世紀の江戸は、既に百万人都市。一般民も行楽、娯楽、参拝、旅行などに行かれるようになった時代。
浮世絵師は、常に最先端の画題を庶民に提供します。江ノ島弁天材の6年に1度の御開帳のようなレアイベントを知らせ、話題を提供。
アイドル的存在の市井の美人、芝居好きなら人気役者、遊里の風俗や遊女のスタイルは当時のモードの最先端で、情報発信源としても浮世絵師のセンスが生かされる。

ベロ藍が使われていない時代はどぎつさがなく、青は消え入りそうにはかなく、紫やふわっとした黄色、蛍光味のあるオレンジが優しい。
そこに突然カラフルな画面が消え、茶渋で染めたような渋い作品群がある。「紅嫌い」だ。
紅嫌いでは顔だけ白く、唇だけ赤く塗るなど数箇所のみ紅をさす所が粋。

紅嫌いが流行るとこちらも「贅沢」とみなしていたと聞いた事がある。検閲と、制作はイタチごっこだ。

ところで、
「筆魂」展にあった、浮世絵の歴史をこちらに載せる。

・16941枚絵として墨摺絵が販売され始める
・1716紅絵、漆絵がおこなわれる。
紅摺絵が好事家によって用いられ始める
・1721幕府出版官許の制度を始める書き物問屋、絵草紙問屋の組合設立
・1764
このころ絵暦が好事家のあいだで流行
・1764 鈴木春信多色刷版画「錦絵」制作
(1782~88天明の大飢饉)
・1781
この頃紅嫌いが登場し始める
・1789
このころ雲母刷りが登場し始める

1790幕府出版取り締まりを強化。改印制度始める
1793 1枚絵に遊女の名前書き入れ禁止
1826
このころから浮世絵にベロ藍が用いられ始める
(1835~1839天保の大飢饉)
1843 検閲制度の強化 役者似顔絵の禁止

飢饉が終わると幕府は改革を始める。これは倹約を主とするもので派手なもの、華美なものも取り締まられた。経済は余計停滞するのであるが。



6鳥居清長 「江之嶋詣」
スッキリした富士山が目を惹きました。

若い女の突き出たおしり(右端) 姿勢と肉付きで歳の頃がわかる、さすがの観察眼。

10鳥文斎栄之「蛍狩り美人図」
蛍のはかなさと華奢な足の若い遊女、その美しさはどちらもはかない。黄色のべっ甲の簪くしの、透け具合など細かく行き届いている。

11鳥居清長「女湯」
ボストンとここしかない希少品。ボストンのものはドガの愛蔵品
銭湯を描いた最も早い時期のもの。
小窓にみえる人はお湯の湯加減、湯を汲む三助(湯汲男)。

柘榴口
鏡を磨くのにザクロをもちいたことから生まれた洒落「かがみいる」が名称の由来

ドガは入浴する女性をよく描いているけど、この作品もドガのように群衆が何気ない自然な姿で画面に入っている。ドガからみて、浮世絵の平面的な女性像はどう捉えたのだろう。


15喜多川歌麿「鮑取り」
1791  6年に1度の江ノ島弁天財御開帳をあてこんで作られたものか。


18 喜多川歌麿「婦女人相十品」ポッペンを吹く娘
市松模様の着物は最先端 。これは緑とピンク色だろうか?
婦人人相10品が名を変え刊行「婦人相学十躰」として再版されることになるが、この図はどちらにもおさまっている。今も昔も人気作品。こちらの所蔵品はかなり状態が悪いが、下からのぞくと頬紅のような明るいピンクの雲英摺がわかる。

遊女について

等級
初期ー太夫、格子、端

最高級の呼出、昼三、附廻、座敷持ち、部屋持ち、振袖新造、番頭新造、局女郎

本来昼三までを花魁という
座敷持ちまでを花魁ということもある

呼出の揚代は江戸庶民の数ヶ月分の収入。

寛政三大美人画絵師
・鳥居清長ー
健康的な八頭身美人で一世風靡
天明のヴィーナス

・喜多川歌麿ー
歌麿といえば美人大首絵

・鳥文斎栄之ー
500石取りの旗本、徳川家治が画号を与えた。

特に鳥居清長の健康美人に目が行った。



見立てと古典画題

あるひとつの出来事を別の物事に置き換えて表す庶民に分かりやすく絵を描くことで理解の幅を広げるという意図がある

全部当世風にするもの、周りだけ当世風にするもの。とある。

27鳥居清長「牛若丸と浄瑠璃姫」
あまりにも有名な主人公は昔の装束で、他の人々は(当時の)現代の衣装である。

51喜多川歌麿「雪中芸者と箱持」
箱屋とは、三味線の箱を運んだり、送迎、着付けを手伝う男性。江戸の三味線は分解できないので、今のベースみたいに大きい。
黒のグラデーションで風情があり私のメモには「たいへんよろしい」と偉そうに書いてあるので余程感動したようだ

青楼十二時 続(39~50)
遊女の一日の生活を時間ごとに切り取った作品。何気ない仕草を捉える歌麿の観察眼の鋭さ。12図全て一気に見られるなんて滅多にないことだと思います。

41子の刻(0時)
男性のおしゃれ 羽織の裏に大胆な意匠を施すのが、通人
鈴木鄰松の達磨と落款あり。
左に流れる着物の裾が長く誇張され、「後朝の別れ」を示す


(画像は展覧会の展示とは異なります)

42丑の刻(2時)
眠そうな目が可愛い。ひっくり返った草履、懐紙、リアル。

43寅の刻(4時)
仕事が終わって小腹が減ったところ。片喰紋羽織は客に借りたのか。もう1人は懐手でたばこ。寒そうだが、2人の表情はリラックスしている。



47申の刻(4時)
禿のひたいくらいしか見えないくらいに花魁を画面いっぱいに描いてひときわ鮮やか。
モデルは最も多く描かれた扇屋の花扇。



49戌の刻(午後8時)

客がつかないから長い手紙をかいている。真剣に言伝をきく禿。営業は大変だ……

43辰の刻(午前8時)
営業が終わり、就寝。普通の遊女はみな雑魚寝である。
くたっとして肌なじみの良さそうな浴衣姿で褥に入る遊女の顔はとても幼い。


46未の刻(午後2時)

昼見世。夜と違いひやかしも多かったそう。なので少しリラックスし、横兵庫を結っている花魁は身を乗り出して占い師にみてもらっている。
新造と禿はお互いの手相をみている。



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