11月4日 その② ルーブル美術館 | けろみんのブログ

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ジャックマール&アンドレ美術館を見おわり、今回の旅行で「邸宅の美術館はやはり素晴らしい!」という思いを新たにしました。

邸宅に住んでいる方が選んで好みの場所に展示した室内、作品全てが引き立てあってました。

そんなことを考えながら、ルーブル美術館へ。
見てないところを鑑賞するつもりが気がつくと全く同じところを鑑賞していました。

ルーベンスの間は何度見ても圧倒的です。そこに描かれているのはマリー・ド・メディシスの人生。カトリーヌ・ド・メディシスといつも、ごっちゃになります。マリーは17世紀の人で、カトリーヌは16世紀の人です。
上の写真は、カトリーヌ・ド・メディシスの夫ヴァロワ朝王アンリ二世の心臓を入れた女神像です。何故か離れて置かれています💧

昨年秋の「ルーブル美術館展」開催中、國學院大学教授 小池寿子氏による講演会「ものがたる肖像ールーヴル美術館展 肖像芸術に寄せて」を聴講しました。

小池寿子教授は「死者たちの回廊」という著書があり、中世ヨーロッパの死生観について大変興味深い話がありました。

その中で私が心惹かれたのがカトリーヌ・ド・メディシスのお墓作りへの情熱の話です。いつかパリに行ったら絶対に見ようと思っていました。

というわけでこの日のルーブル美術館鑑賞テーマは、カトリーヌ・ド・メディシスです。


上の写真、反対から見るとこんな感じ。遠くに夫の心臓が見えます。
こちらは、当初お墓にする予定で「死後7日目の腐り加減で作って」と注文してできたお棺。結局は気に入らなくて、作り直すこと3、4回。

最終的にこちらの上品なバージョンを採用したようです。

こちらはサン=ドニに安置されています。

ネットで、ルーヴル美術館にあるカトリーヌ・ド・メディテスの横臥像を見た方の感想ブログを読むと

・すごく痩せてる。
・すごい年取ってる。

という感想が多いです。私が講演会で聞いたところではこれは誤り。前述の通り「死後7日目の腐乱死体」を表しているのです。

確かにすごい年取った人にもすごく痩せた人にも見えますね。



ではなぜ、こんな醜い腐った姿にする必要があったのか?

これはトランジといって肉体は浮世の儚いもの、死ねば朽ち果て、蝕まれていく。それによって魂は浄化されるという中世ヨーロッパの思想を表した様式です。

1347年から始まったペストの大流行は3年経たずにヨーロッパを1周し、全人口の1/4の人が亡くなりました。フランスではおよそ9割の人が死に、元の人口に戻るのに200年かかるほどでした。

気持ち悪い写真ばかりでなんなので、素敵彫刻を。


病に倒れ、死んで腐りゆく死体を弔うことも埋葬することもできない状況の中、人々は今よりずっと死が身近で、人々は死んでから先のことことも心配せずにはいられなかったでしょう。



疫病、戦、飢饉など生き抜くことが大変な時代、人々の救済願望が強かった。上流階級の方々は「命の儚さとどんな人でも結局はうじ虫の餌食になる」という謙虚な気持ちを持ってることを示すことで魂の救済を願いました。それがこの腐乱死体彫刻なのです。

(売ってないけど)コニーウィリスのこの本を読んで中世ヨーロッパに関心を持つようになりました。日

日本にも自分が死んだらそのまま野ざらしにして、それを絵に描かせた檀林皇后の九相図があります。
死の受け止め方。それを深く感じる鑑賞でした。

近日公開のこの映画、死との向き合い方をブラックジョークで描いている傑作。見て損は無いですよ!!

今日は東京国立博物館で「餓鬼草紙」を鑑賞。こちらも死後の世界の中の六道のうちの一つ、餓鬼道を描いていますが死が人間に常にしのびよる様子が描かれています。








カトリーヌ・ド・メディシスは16世紀、フィレンツェのメディチ家からフランスヴァロワ王朝に嫁いできた王妃です。

夫のアンリ二世には既にはるかに年上の愛人がいて、2人は親子、恋人、友達、同士のような固い絆があり、後から来たカトリーヌの出番はありません。それでもなんとか務め(世継ぎを産むこと)を果たし(愛人も応援)10人の子供を産むけれど王の心は愛人ディアーヌにあり。しかもディアーヌは賢くて美人、カトリーヌは目出ィチと言われるほど(嘘です)パッとしない小娘ってことで、王の存命中はキリキリしてたことでしょう。

王様が騎馬槍試合で相手に目玉を突かれ亡くなった後は何回もお棺を作り直したりしつつ、王の摂政をしたり、政治に失敗したり波乱万丈には変わりないです。ディアーヌとの関係はそう悪くもなく、比較的実入りの良い土地で余生がおくれるように取り計らったそうです。昔の説だといかにも嫉妬した女性的な扱いでかかれますけどね。

ゆっくり見学し、地下鉄に向かう途中に撮った写真をTwitterにあげたのが私とASUS4MAXとのお別れでした。その後ピローヌ(横浜にあるやんけ)みて、地下鉄の改札に入ったところで携帯は消えました。


この頃の私の自炊作品。生キャベツのポテトチップスのせ。キャベツ固くて生食に向かない。
バスティマ米とキャベツとサラミの炊き込みご飯。超まずい。レンチンしたチーズはおいしい。


なんの煮汁かというと……
鶏肉と間違えて、マトンを買って煮たものでした!マトン、大嫌いなのに!

ナマニクさん一般書籍
こちらは死生観いっぱいのイベント。


友人の菅野久美子さんは、現代の孤独死について詳細な取材の上現実を直視した素晴らしい著作を出版しました。超オススメです!