エクサンプロバンス セザンヌの聖地巡り 10月27日 | けろみんのブログ

けろみんのブログ

日記・観た映画のこと・観た展覧会の感想

いよいよ世界一好きな画家セザンヌの生きた足跡に触れられる時が来ました。この一人旅の一番の楽しみです。

ホテルで南仏感のあるリエットやチーズ、ハムなどわりと充実した朝食を食べました。
茹でたまごな自分で茹でる方式で、ちょっとおもしろかったです。(12.5ユーロ)


ミストラルが吹くほどではないけれど寒く、南仏名物の強烈な日差しのかわりにしとしと雨降る中まずはエクサンプロバンスの中心、インフォメーションセンターに行きます。
晴れた日にはホテルのテラスからお山が見えるのですが、セザンヌだってこんなお天気を経験したはず!

インフォメーションセンターはとても親切でわかりやすい英語でプリントし忘れたセザンヌのアトリエ見学チケットはプリントしてくれ、わかりやすい地図とともにこのように歩くといいですよ、など教えてもらいました。
ジャドブファンに行きたいというと、今は言っても何も見るところないよともおしえてくださいました。

中央の広場では、市場が立っていました。「南仏プロヴァンスの12ヶ月」「南仏プロヴァンスの食卓」などなど、かれこれ20年以上憧れていた世界が広がっています。


パプリカ
牡蠣にレモンが添えてある🍋


早速バスでセザンヌアトリエへ。同じ行き先の男性がいらして、バスの運転手がちゃんとセザンヌアトリエ前で教えてくれるかすごく心配していました。




バス停につくと「マダーム!」と呼ばれ、「バスはあそこに止まるから、あんたらはあっちに向かって。」と道もおしえてくれて、すぐにわかりました。
よく見るとたくさん案内が書いてありますし、「セザンヌ通り」となっています。



日本語のオーディオガイドを借りました。これも日本から予約していきました。

セザンヌは絵画制作のためだけにこのアトリエをつかっていて、一応キッチンや寝室もあるけど大抵は一度町に戻り母と昼食をとって、また戻り夕方まで制作して、家族のいる町へ帰る(妻と息子はパリにいたが、生活費を減らすというセザンヌ父のやり方と同じことをしてエクサンプロバンスに連れてくるが、寝泊まりは母の家でしていた模様)(その後画商との交渉などのために母子はまたパリに帰る。エクサンはなじまなかったのかな)

アトリエ建築に対するセザンヌのこだわりは強く一切妥協しませんでした。一定の柔らかい光が入り、壁や床も明るすぎて描く対象の色合いが変わらないよう壁はわたしには色の知識ないので何という色かわかりませんが落ち着いた色、床は赤すぎるテラコッタをやめ、フローリングになっています。

携帯用コンロですね。お茶を飲みながらスケッチとかなさったのでしょうか
この床をみてください、反射や対象物に干渉する色味のない、板敷です。
他はこの階段のようにテラコッタです。

そこに、「大水浴」に使う大型のイーゼルや、それまで静物画に使っていたお気に入りのアイテム(陶磁器、キューピッド像、ドクロなど)を揃えてりんごやオレンジなども納得いくまで並べ直し、同じ光、同じ配置、動かない対象を相手に日がな一日強固な画面構成と色彩による遠近表現などなくなるまでずっと研究と成果を出し続けてきたのです。

「庭師」「大水浴」「サント・ビクトワール山」などの20世紀の作品は人間も、風景も球体、円錐、円柱の組み合わせであ理、色彩で遠近を出しつつ、全て風景に溶け込ませた傑作で、80〜90年代の風景画が好きな方が圧倒的に多い気がしますが私はこの時期のセザンヌの絵画が大好きです。

モーリス・ドニが「セザンヌ礼賛」を描いたのが1905年。時折訪れる画家たちをセザンヌは温かく迎え入れ、持論を語ったそうです。





もちろん帰りにはもう少し山を登り毎日セザンヌが通い、イーゼルを置いたというサントビクトワール山の一望できる場所、レ・ローヴの丘に行きました。






そこにはそこから描いた10枚弱の作品が飾られていました。プーシキン、バーゼル美術館で見た作品以外は、まだ見てない気がします。そしてふりかえると…







そこには今も変わらないセザンヌのお山と、作品と全く同じ色をした空気、木、建物がありました。

そこに1時間弱いて、てっぺんが見れないかずっと観察しましたがあいにくの曇りで曲がった先端はみられませんでした。

でも作品にはそんな、見えそうで見えない変わりやすい山の天気も閉じ込められてる気がします。

山にはよく雲がかかりますから、早く雲がどかないかとじっと待つセザンヌの後ろ姿が浮かぶようでした。

帰り道立ち止まるとイタリア人のおばさまが話しかけてきたり(イタリア語で)フランスのおばさまが道案内してくれそうになったり(いえ、もう帰るのです)
とても親切な住人のいるちいきなのだなぁとほっこりしました。

今(2018年12月5日)フランスは50年ぶりの大暴動がおこってるとのこと。貧困者の目立つフランス、平和な社会になれるよう祈ります。