このブログでは、相続財産の特定や遺産分割協議書、

実際の手続について書こうと思います。

 

  遺産相続とは

遺産相続の手続は、故人の残した財産を引き継ぐ手続きで、

誰もが関わる可能性のある手続きです。

 

父の場合は、遺言書はなく、法定相続人は戸籍謄本を確認した結果、

母と私達姉妹だけでした。

 

  遺産と考えられるものは

遺産には、プラスの相続財産の他に、マイナスの相続財産もあります。

 

相続すると決めた場合で、マイナスの相続財産がある場合は、

プラスの相続財産とあわせて、マイナスの相続財産も相続する事になります。

相続するか、相続放棄するかを考えなければいけない場合があります。

 

プラスの相続財産

  • 現金・預貯金
  • 不動産
  • 不動産上の権利(賃借権、抵当権等)
  • 動産(自動車・貴金属・骨董品等)
  • 有価証券(株式・国債・ゴルフ会員権等)
  • 生命保険金
  • その他

マイナスの相続財産

  • 負債(借金・ローン等)
  • 損害賠償債務(不法行為・債務不履行等)
  • 公租公課(未納の税金等)
  • 買掛金
  • その他

相続財産とみなされない物

  • 祭祀財産(墓地・仏壇・位牌・遺骨等)
  • 香典・葬祭費用
  • 生命保険金(故人以外が受取人の物)
  • 死亡退職金・葬祭費・埋葬費

 

  相続手続きが必要な財産の特定

葬儀社のサービスの一環で司法書士さんに1時間お話を伺う時間がありました。

 

その際、司法書士さんが「日本で相続税が発生する割合は2割ほど」と

おっしゃっており、我が家も相続税はないだろうと思いながらも、

相続手続きが必要な財産の特定をしなければならないので、

父の遺品整理をしたり、必要書類を取り寄せて、特定をしました。

 

特定の結果、相続財産が一定の金額を超えなかったので、

税務署への相続税の申告は不要と確定できました。

 

父はアナログな人だったのですが、もしデジタル遺品があった場合は、

相続手続きが必要な財産の特定はもう少し難しかったかもしれません。

 

  遺産分割協議書

法定相続人間で、遺産の分け方を決める事を遺産分割協議と言います。

 

その内容に沿って、遺産分割協議書を作成し、

相続人全員が実印で押印し、印鑑証明を添付します。

 

上記が普通のケースになりますが、私は印鑑証明が取得できないので、

まずは私がアメリカで遺産分割協議書を作成し、

それを領事館に持って行き、領事の面前でサインし、サイン証明を取得後、

領事館で取得した在留証明と共に、日本に発送して、

日本にいる相続人全員が実印で押印し、印鑑証明を添付した後、

不動産等の名義変更手続きを進めました。

 

遺産分割協議書は、ネットにあるフォーマットを参考にして作成しました。

 

  預貯金の名義変更

故人が口座を持っていた銀行に予約を入れて、訪問しました。

我が家の場合、必要書類は以下の通りでした。

  • 死亡届コピー
  • 相続届
  • 法定相続情報一覧図(戸籍謄本の代わり)
  • 日本法定相続人全員の印鑑証明
  • アメリカ私の在留証明
  • 代表相続人1人のマイナンバーカード
  • 遺産分割協議書

故人の口座がゆうちょ銀行にあった場合、他行とは異なる手続きが必要です。

 

ゆうちょ銀行では他の金融機関と異なり最低でも2回の窓口訪問が必要で、

相続確認表の提出と、ゆうちょ銀行から送付された必要書類を揃えて

再度窓口に提出するという手続きになります。

 

  不動産の名義変更

東京の不動産は、最寄りの法務局に予約し、訪問して名義変更しました。

地方の不動産は、郵送申請しました。

 

我が家の場合、法務局に訪れた場合の必要書類は以下の通りでした。

  1. 登記申請書(収入印紙を申請書下部の空欄に貼付)
  2. 死亡届コピー
  3. 法定相続情報一覧図(戸籍謄本の代わり)
  4. 代表相続人1人の住民票
  5. 不動産の評価通知書
  6. 遺産分割協議書
  7. 日本法定相続人全員の印鑑証明
  8. アメリカ私の在留証明
 
郵送申請の場合は、以下が追加になりました。
本人限定受取郵便とする必要があり、その場合の加算料金は210円です。
法務局に電話したら、加算料金を加えた郵送料を教えてもらえたので、
その分の切手を用意して貼付ました。
  • 返信用封筒(表に本人限定受取と書き、返信用切手を貼付)

 

郵送申請する場合で、本書を返却してほしい場合は、

2~8まで全てコピーを取って、左端をホッチキスで3か所くらい留めて

見開きの冊子みたいにします。

そしてコピー最後のページに原本に相違なしと書いて、

代表相続人1人の名前を書いて、押印します。

その後、冊子を開いて、全てのページの開き目に割印をする事で、

必要な手続きが終わったら、本書を返却してもらう事ができます。

 

送付する封筒には不動産登記申請書在中と書いて、

該当の法務局に発送します。

 

法務局での手続き後、登記識別情報通知登記完了証が届きます。

 

登記識別情報とは、従来の登記済権利証に代わるもので、

不動産の名義変更された場合に新たに名義人となる人に

登記所から通知される書類(情報)です。

 

登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁で、

不動産及び登記名義人となった申請人毎に定められます。

この登記識別情報は、本人確認手段の一つであり、

所有権を取得し名義人となった後に、

別の所有権移転登記手続きする際等に、

登記名義人本人による申請であることを登記官が確認する為、

登記所に提供が必要になります。

 

登記識別情報通知は2005年の不動産登記法の改正により

新しく発行されるようになった書類です。

 

改正前までは同様の効力を持つものとして、登記済権利証がありました。

登記済証や権利証と言われたりもします。

 

登記済権利証は所有権移転登記等の内容が記載された用紙に

法務局の登記済の朱印が押印されたものです。

登記済権利証は文書ですので、権利証が必要な手続きには

権利証の原本の提出が必要となる為、

インターネットを利用したオンライン手続きができません。

 

したがってオンライン化に伴う法改正の際に権利証の制度は無くなり、

権利証に代わる本人確認手段として登記識別情報の制度が導入されました。

 

  不動産登録免許税の計算

相続による不動産の所有権移転登記の場合、

課税標準と税率は以下のようになります。


登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×0.4%

 

不動産の固定資産税評価額は、市町村役場から毎年4月~5月頃に

通知される固定資産課税明細書に、価格または評価額と記載されています。

 

固定資産税課税明細書には、課税標準額という金額が記載されていますが、

これは固定資産税や都市計画税の課税標準額であり、

登録免許税の課税標準額ではありませんので間違えないようにしてください。

 

評価通知書(固定資産評価証明書)で確認する場合は、

課税標準額ではなく、価格もしくは評価額の金額になります。

 

計算例として、土地(固定資産税評価額312万5100円)と

建物(固定資産税評価額124万7200円)を同一申請書で申請する場合の

相続による所有権移転登記の登録免許税額は以下の通りです。

 

課税標準:312万5100円+124万7200円=437万2300円

                 →437万2000円(千円未満切り捨て)
登録免許税額:437万2000円×0.4%=1万7488円

                 →1万7400円(100円未満切り捨て)


特別措置として、価額が100万円以下の土地について2025年3月31日までに

相続による所有権移転登記を行う場合、免税になります。

租税特別措置 法第84条の2の3第2項 0.4% → 免税(0%)

 

登録免許税は、現金納付が原則ですが、 

この例の様に登録免許税の額が3万円以下の場合には、 

収入印紙による納付も認められています。

 

登録免許税の申請書(登記申請書)は、法務局からダウンロードしました。

 

  名義変更手続き終了

父が亡くなった10月19日からちょうど3か月後の1月19日、

全ての名義変更手続きが終わりました。

 

不動産の名義変更手続きは、東京も地方分も1月初めに終わり、

最後は銀行でした。

 

身近な人が亡くなった後の手続のすべて(新訂版)を参考にして、

全ての手続を進めていきました。

司法書士さんに頼むと54万円のところ、こちらの書籍は1540円。

私にとっては54万円の価値がある書籍になりました。

 

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