大相撲でまたも問題が発生した。
今回は大相撲の根幹に関わる問題であり、その問題の大きさを伺わせる。


問題の真偽はともかくとして、これまでも無気力相撲などといった”馴れ合い”の問題が指摘されてきた。


例えば相撲は肉体を酷使するため場所の後半から終盤になり勝ち星が先行してくると怪我を回避するために強くぶつかることを避けるといったことがある。


また慣習的に勝ち越しが確定した力士が千秋楽で勝ち越しが決まっていない力士(すなわち千秋楽の結果によって勝ち越しか負け越しかが確定する力士)と対戦する場合、わざと負けて相手を勝ち越させるといったことも行われてきた。


もちろん力士たちの心情を考えればこれらは当然のことと思われるが、しかしながら真剣勝負、あるいは激しい競争を望むファンを第一と考えるのであればこれらは許されることではないだろう。


このようなことが起こる原因は組織にあると思われるが、具体的にどのような点が問題となるのだろうか。

思いつく要因を挙げてみると、



1:下位層の上昇スピードに比べて上位層の引退、下落スピードが極端に遅く、中位層に人材が溢れてしまう。


2:下位層と中位層の差が非常に大きいのに対し、中位層と上位層では見た目ほどの差がない


3:最上位層といえどもキャリアパスが明確ではなく、引退後の生活保障がしっかりしていない


4:故障のリスクが大きいにもかかわらず故障時(あるいは復帰時)のフォローが少なく、結果として故障によって選手生命を絶たれるリスクが非常に大きいものとなっている


5:組織が閉鎖的であり限られた人間関係に縛られてしまう


もちろんこれらはメリットがあって採用されているシステムでもある。

例えば閉鎖的な組織は問題が発生すればたちまち糾弾されるが、悪い面だけではなく良い面を守るという意味でも同じように効果を発揮できる組織である。

伝統や格式、そして何より”心”を守り伝えていくために、外部からの干渉を断つということは必要であったのだ。



さて、これらの要因を見てあることに気づく。

これは芸能界、とりわけアイドルグループや若手芸人といった層にも同じことが言えるのではないだろうか、と。


上記の要素以外にも公共性の高さなど共通する点は多い。


今回問題にしたいのはこれらすべての組織(組織を構成する人々)に必要な競争を削いでしまうシステムをどのように改善すべきかということである。


もちろん上記の問題に対してひとつひとつ手を打つことが必要であろう。


しかし何より大切なことは、”人を見る”という姿勢であると考える。


組織は人間の集合体であるから組織を管理することは人間を管理することと同一だと思われがちだが、組織は1つの有機体であり、人間とは明確に区別される。


大相撲においても組織としては結束力もあり多くの問題を抱えながらも実績を挙げてきた。


しかし個々の力士で言えば番付によって大きく収入や待遇が左右されたり故障によって引退に追い込まれても将来の保証がなかったりと不安を多く抱えている。


アイドルも同じである。


同じグループにいても売れているメンバーと売れていないメンバーの差は大きい。大きすぎるとも言える。


また身体的な故障とは言わないまでもいわゆる”干され”といった状態が発生すると再び活躍することが大変困難になる。


しかしながらそのような状況で外に飛び出したとしても成功できる保証はない。


力士の例でも同じ業界で残ろうとしても年寄株や相撲関連の仕事は限られているし、新しくビジネスを始めようとしてもその才能が必ずしも備わっているとは限らない。


アイドルもグループを離れてなお同じ業界にとどまることは非常に難しい。


しかし転身するのはさらに難しく、苦悩の末に失敗する例が後を絶たない。


組織にいれば強力に守られるが一旦外に出ると何のサポートも受けられないという恐怖が組織への執着や馴れ合いを生んでしまう。


以前このブログで提案をしたように、もっと外の世界と接続し人材の流動化を図ることはこれらの問題の解決の一助となるのではないかと考えている。


組織の柔軟性や人材の流動性を上げていくことで、不要な馴れ合いを防ぎ競争をより激化させることができる。


もちろんこれは組織内の人間にとって別の苦しみを与えることになり逃げ道を失わせることでもある。


しかしファンが望むエンターテイメントを実現できないのであればそもそも組織としての存在価値がない。


苦言になるが競争を避けただ安閑としてファンの心につけこむだけのアイドルグループであるならばなくしてしまえばいい。


ファンでない人間の心までも熱くするようなアイドルグループを生むためには組織が率先して自らを激しい競争環境に置かなければならない。


幸いにして芸能界は相撲協会の独占環境とは違い寡占環境である。


競争の意思さえ持てば競争の最前線に立つことができる。


今こそ更なる高みを目指して競争するべきなのではないだろうか。