食べるラー油の流行には時代的な背景があった、と考えるのが事後分析的な意見である。

一時的な不景気ではなく恐らく今後も長期的に続いていくであろうという経済の閉塞感が食べるラー油という戦略を生んだと考えられる。

多角化企業の分析で著名なアンゾフが考案したマトリクスに従えば、企業の戦略は4通りに分類される。

それは製品と顧客を新規と既存に分け、それぞれを対応させたものである。

例えば既存顧客に対して既存製品を販売する戦略は市場浸透戦略と呼ばれ、とにかく現状を頑張りぬくという戦略である。

そして食べるラー油のようにこれまでと同じ製品をこれまでとは異なる顧客層へと訴求する方法が市場開拓と呼ばれる戦略である。

市場開拓戦略の他の例としてはベビーローションの(主に敏感肌の)女性用化粧品への応用や、老人用紙おむつなどが挙げられる。

確かに市場開拓戦略の中には画期的なものも多い。

しかし食べるラー油の場合に時代的な背景があったと言うのはネガティブな理由である。

すなわち長期的な不景気予測が投資を減退させ、製品開発というプロダクツ企業にとってのコアを放棄させてしまっているのである。

その結果既存製品を価格競争の渦中に置いて利益を目減りさせるか、既存製品を新たな市場へと投入するかの二択を多くの企業が迫られているのである。

ここに食べるラー油の必然性がある。


食べるラー油以外にも同じような現象は様々見受けられる。

復刻版、リメイクと言えば聞こえがいいが、これらも市場開拓戦略に変わりはない。

テレビ業界の場合で言えば、松本清張作品が本当に数多く見受けられた。

君に届けのヒットを受けて今度は高校デビューが映画化される。

ハガネの女は史上最速で続編が制作されることとなった。

などなど、その例は多い。

これまでも多く見られた横並び以上に昨今では時系列的な”真似合い”現象が見受けられるようになった。


確かに市場調査の時間的金銭的コストを削減し効果的な販売戦略をとれるというメリットはある。

しかし単に製品開発を放棄するための戦略だとすればこれは破滅を招く。

投資は企業が成長できるたったひとつの方法なのである。

これを放棄してしまってはもはや逃げきり戦略にしかならず、長期的に勝ち抜いていくことなど到底できない。

最悪なパターンは業界全体の魅力を低下させてしまい、再投資を始めた頃には市場がなくなっているというパターンである。

投資こそが企業存続の手段だと考えてきちんと投資をしていくことが重要であると言えるだろう。



―追記―

意見が上手くまとまっていない(&個人的意見すぎる)気がしたので本文からは外しました。

アイドルを製品として捉えるならば現状はアイドルにとって非常に厳しい状況下であると言える。

個々のアイドルに投資するというよりもとれるだけキャッシュをとって次の有望なアイドルを売り出すという戦略に傾きがちだからである。

AKB48もそろそろクローズ(キャッシュ回収)に入っているかなぁと思っている。

特に個人的にはフレンチキスのデビューによってそれを感じた。

全体が沈没する前にひたすらスピンアウト(切り売り)をする戦略に出たと見えたからである。

正直に言ってフレンチキスのメンバーが芸能界生き残っていけるだけの能力を身につけているとは思えない。

哀しいかな、アイドルファンというものも流れが変わればその流れに乗り換えてうまくやって行く生き物なのでこうなることは仕方ないのかなぁとも思う。

アイドルが移り変わっていくことはこれまでの数多の例を見ても幾段珍しいことでもない。

ただし一貫した情熱を作り手もファンも持っていなければ、本文に書いたように業界全体が沈没してしまうという最悪の現象を招きかねない。

そうならないことだけをまずは祈るばかりである。

世の中の流れをそのまま受けてしまうのではなく、不景気の時にこそ人々に希望を与える存在に芸能人がなってほしい。