ハーブ(植物)は、私たち人間のために香り成分を作っているわけではなくて
自分のために、自分の代わりに働いてもらうための成分を作っています。
レモングラスは、レモン風の香りで私たち人間に好まれますが、実は虫(蚊)が嫌いな香りです。
ローズマリーやユーカリなどのスッキリした香りも、虫よけや抗菌に役立ちます。
ローズやイランイランなどの花の香りは、反対に虫を呼び寄せて受粉のお手伝いをさせます。
フランキンセンスなどの樹脂精油は、傷ついた身体を治すために細胞再生を促します。
その役目はそのまま人間にも応用され、アロマテラピーという植物療法になります。
また毒にも薬にもなる成分もたくさん作り出しています。
いわゆる麻薬と言われる植物の成分は、うまく使えば医薬品、下手に使えば麻薬です。
モルヒネやTHC(テトラヒドロカンナビノール)などたくさんあります。
テレビの医薬品のCMを注意深く観ていると、
植物成分の名称がたくさん出てきます。
抗がん剤の元になっているのも植物です。
ニチニチソウには急性白血病や悪性リンパ腫に有効な成分、ビンクリスチン、ビンブラスチンがあり、
イチイの葉にはタキソールが得られるパクリタキセルが含まれています。
植物から作らずに化学合成で作るのは、その方が早く、安定して作れるため。
植物さんと科学者の皆さんに本当にありがとうです。
生きるための栄養も、身を守る成分も
人間は自ら作り出すことが全然できないのに、植物はできます。
動けないからそうするのでなく、
動かなくてもいい生き方を選んだとも言われています。
人間を生かしてくれるのは植物、そこに惹かれてハーブを学びました。
人間の命を左右するのも、実は植物ではないかと思っています。
だから自然を破壊するようなことをする今の世界の流れが怖い。
もっと人間以外の生き物にも目を向けようよ、と言いたいです。
戦いが人間だけでなく自然をどれだけ破壊しているか、どうして思いやることができないんだろうと
虚しく、悲しくなります。
人も植物も消えて荒れた国を、どうして手にしたいんだろう。
文明や教育が行き届いても、昔からやることが変わらないのが
不思議で仕方がないのです。