「RENT」というミュージカル作品をご存知でしょうか?

「オペラ座の怪人」や「レ・ミゼラブル」や「ライオンキング」等、ミュージカルに詳しくなくてもタイトルは誰でも知っているような超有名作品ほどではないのですが、ミュージカル好きの中では「RENT」はそれなりに人気のある作品だと思います。

過去には映画化もされ、日本でも公開されています。

 

また、劇中で歌われる「Seasons of love」という曲は、数年前にコーヒーのCMでも使用されていました。

 

私がそもそもこの作品を知る事になったきっかけは、20代の頃にやった演奏のお仕事の一つに、某音大の女の子たちで結成されたミュージカルカンパニーの舞台でのバックバンド演奏というのがあったのですが、そこでの演奏曲目の中に「Seasons of love」が含まれており、まずはこの楽曲そのものをとても気に入ったことからミュージカルにも興味を持つようになりました。

ちなみにこのお仕事では当時大学生だった夫もギターで参加しており(ギタリストが必要な仕事があった時に夫にお願いすることがたまにあった)、このお仕事自体が二人揃ってミュージカルの世界にハマっていく大きなきっかけとなりました。

 

その後、映画化された「RENT」を映画館で観て大きな感動と衝撃を受け、新婚当初に夫と行ったNY旅行でのブロードウェイ公演、ブロードウェイキャストによる日本公演、日本人キャストによる公演(出演者オーディションに知り合い数名が受けに行ってました)…と、何度か生の舞台を観られる機会にも恵まれました。

 

また、これもかなり昔の話ですが、ネット上で「RENTを歌う会」的なサークルが立ち上がっており、そんな集まりにも何度か参加したり。

そこでピアノ伴奏を担当させてもらっていたので(最終的には夫や音楽仲間も巻き込んで、バンド演奏をバックにみんなに歌ってもらってました)劇中の主要な楽曲はコードを耳コピし大体伴奏できるようにもなり、より1つ1つの曲に対する愛着も深まることとなりました。

 

 

「RENT」はエイズ・ドラッグ・同性愛等のテーマを扱ったストーリーであるため、まずは校内で学生によるRENTの公演があると知った時に「え?!?!中高生にできるの?!?!」と、半信半疑でした。

正直プロでもない中高生がかなり頑張っても、観賞に値するクオリティーには仕上がらないのでは…?という気持ちの方が大きかったです。

 

でも「RENT」をやると知ったからには観ないわけにはいかない…!と、夫とも意見が一致したため、家族3人分のチケット(無料)を入手し、公演の日を待ちました。(公演は平日の18時から校内のホールにて。二日間公演でした。)

 

もう一つ懸念事項としては、5歳の娘がかなり大人向けなストーリーの「RENT」をちゃんと静かに観ていられるのか…?という点あせる

以前観た「メリーポピンズ」「Wicked」は大好きになってくれたのですが、今回はどうかな。。。

とりあえず娘には、ものすごくざっくりとしたストーリーの概要を説明した上で、「退屈だったら寝てていいから、静かにしててね」と言っておきました。

 

ただ「Seasons of love」に関しては、娘が赤ちゃんの頃からドライブ中などにしょっちゅう聴かせていたこともあり、この曲が聴けることについては娘も楽しみにしている様子でした。(その他の曲も公演日の少し前からさり気なくちょいちょい聴かせて予習させておきました)

 

 

 

さて、すっかり前置きが長くなりましたが、中高生によるRENT公演は蓋を開けてみれば想像をはるかに上回る高いクオリティーに仕上がっており、とっても驚きました!!

 

音楽もバックバンドによる生演奏でしたし(こちらは学生ではなく大人が演奏してました)、この学校の中にこんな何人もかなりのハイレベルな歌唱が出来る人材が存在していたことにビックリポーン

この学校、こんなにも才能の宝庫だったんだ…!

(後日知ったのですが、今年8月までハンブルクで公演されていた「メリーポピンズ」に出演していた子役の女の子の内の一人も、この学校の子だったようです)

 

とくに、ブロードウェイオリジナルキャストとしてかつてイディナ・メンゼル(「アナ雪」のエルサ役の女優さん)が演じていたモーリーン役の女の子の歌唱力はプロの世界でも通用するのでは?と思えるほどのものでした。

 

マーク役の男の子も「マークを演るためにこの学校に入ってきたのか?!?」と思えるぐらい、声もヴィジュアルもマークのイメージにピッタリ!演技もすごく上手で、彼の存在が舞台全体を引き締めていたように感じました。

 

ミミ役の女の子、ギャル的なセクシーさを持ち合わせた感じがミミのイメージにかなりマッチしており、歌もファルセットはちょっと苦手っぽかったけど、声質も歌唱もすごくカッコ良くて個人的に今回のキャストの中でいちばん印象に残りました。

こんな可愛いくてセクシーな子、クラスでモテモテなのでは…?と余計なことまで考えてしまいました。(笑)

 

基本的にメインキャストは高校生の子達がやっていて、アンサンブル(コーラス隊的役割)は中学生中心な感じでした。(中には小学生にしか見えないぐらいの幼い感じの子も交ざってました)

 

 

え…?!と思った点として、

・ロジャー役がまさかの女の子(髭メイクで男だとわからせる演出をしていたのですが、元がロングヘア―の美人な子だったのでちょっと罰ゲーム的だった/笑)

・ドラァグクイーンのエンジェル役も女の子(ただヴィジュアル的には映画版エンジェルとかなり似ていた)

・ベニー役もまさかの女の子(抜群に演技が自然な感じで上手く、あまり違和感を感じなかった!クールな感じがカッコ良かった)

・トム・コリンズ役の男の子は超低音の声質のみで選ばれたのかな?と推測できるほど演技と歌唱力に難アリな感じだったのが、他のキャストがハイレベルなだけに余計際立ってしまい、いろいろ惜しかった

・劇中、何度もワイヤレスマイクのトラブルで不快なノイズが入り、歌が全く聴こえない場面もあったりしたのが残念だった

※これについては、前半が終わり休憩に入る前に説明が入り、「Due to radio wave」とか言ってたので、どうやら付近を飛んでいた飛行機等から発せられる電波が原因だったようです。(終演後、完全に全キャストのマイクがオフ状態になってしまった状況で歌唱した「La Vie Boheme」の場面のみアンコール的にもう1度演じてくれました)

・ジョアンヌ役の女の子(この子もとっても歌が上手かった!)が舞台後半(ほぼ終わりがけのタイミング)で突如姿を消し、代役の人が出演していた…(終演後、その点への説明もとくになく、急に体調でも悪くなったのか??と心配してましたが、未だに真相はナゾのまま…)

 

…などがありましたが、総じて満足度の高い舞台でした音譜

何より、若い子たちが頑張る姿に胸がキュンキュンしまくりました。歳ですかね。(笑)

 

 

「RENT」という作品は、ストーリーの内容そのものにはいろいろツッコミどころもあって(あくまで個人的にはですが)、話の筋に感動するというタイプのものとはちょっと違うのかなと感じているのですが、とにかく舞台上のキャストたちから放たれる熱量というかエネルギーがダイレクトに伝わってくるんですよね。

その熱量にいつも涙腺を刺激されている、という感じです。

今回の学生たちによる舞台も、幾度となく勝手に涙が流れてくる始末でした。

本当に観ておいて良かった!と思える舞台でしたアップ

 

 

そして娘はと言うと…。

 

なんと2時間以上の公演を予想以上に始終集中して観ており、終演後感想を聞いてみると、

「面白かった!RENT気に入った!!」

と、超ハイテンションでご機嫌な様子でしたガーン

5歳児にもRENTの良さがわかるのか……と、我が子ながら感心してしまいました。

 

話を聞くと、とくにエンジェルが気に入ったらしく、エンジェルがエイズにより死んでしまうシーンが印象に残ったそうです。

 

そして娘が楽しめた要因としては、自分が通う同じ学校のお兄さん・お姉さんたちがカッコよくパフォーマンスしていたという部分も大きかったように思います。「私もああいうことしてみたい…。」とポロッと漏らしていたので、身近な人たちが輝く姿に何か刺激を受けた様子でした。

 

また、学内のホールの外のスペースでワイン・ビール・ジュース、ピザやホットドッグの販売なども学生ボランティア達によって行われており、ちょっとしたお祭気分が味わえたのも良かったのかな、と。

 

家に帰る時の車の中でもRENTの曲をリクエストされ、帰宅後もYouTubeでRENTの動画を観たいと要求してきました。

 

 

 

後日談ですが、娘は公演があった翌週に学校のトイレでエンジェル役のお姉さんと遭遇し、

「Are you Angel?」 「I like Angel.」

などと、カタコトの英語で話しかけたそうです。(笑)

娘によると、エンジェル役の子はとても優しく応じてくれたようで、すごく嬉しそうに報告してくれました。

 

 

ちなみに今回の公演は、「RENT」の権利元に正式に許可を得た上でのもので(まぁ、そうしないと問題になるのでしょうが)、学校のfacebookページを見てみると、映画版でジョアンヌ役を務めたTracie Thomsからの応援メッセージ動画なんかがアップされていたりもしました。

内容も「Students Edition」ということで学生向けに多少のアレンジがなされており(これも恐らく権利元から提供された台本等なのでしょう)、過激な表現がややマイルドにされていたりカットされている楽曲があったりもしましたが、概ねオリジナルの雰囲気が再現されている、といった感じでした。

 

 

興味を持って頂けた方はご覧ください。

 

「Seasons Of Love」

 

「Today for you Tomorrow for me」

 

「La vie boheme」

 

「No day but today(Finale B)」