先日、ブロードウェイミュージカル「RENT」の日本版を観てきました。
東京公演をやった後に地方公演というスケジュールで、名古屋は
それらの最後の地。二日間公演でしたが、千秋楽のチケットをゲット
しました。
そもそも「RENT」を知るきっかけとなったのは、数年前にやった
舞台のバックバンドのお仕事でした。
名古屋芸大出身(現役の子もいましたが)の美女軍団達で結成された
劇団の公演で、いろんなミュージカルナンバーを演奏したのですが、
その中でRENTの名曲「SEASONS OF LOVE」を知り、シンプルながらも
心を揺さぶるこの曲の素晴らしさに感動し、ミュージカル自体にも
興味を持つようになりました。
ちなみに、この仕事の時はギターは旦那様に担当してもらったので、
この仕事以来、二人揃ってRENTのファンに。
というわけで、千秋楽は昼間の公演のみだったため旦那様には有給を
取ってもらい、今回も二人で行ってきました。
今までに、RENTの映画版・ブロードウェイキャスト(と言っても
多分2軍チームみたいな方々だと思いますが)による名古屋公演・
そして2年前にNY旅行に行った時に本場ブロードウェイで観た
本物のRENT、と全てを夫婦揃って観ております。
…というのもあって、これらを観た上での日本版…というのは
正直かなり不安がありました。
本物を観てしまった後で、日本人キャストによる日本語に訳された
RENTを観て、「イイ!!」と思えるだろうか…?みたいな。
「この人がこの役やったら、どんな感じなんだろう?」と興味を
そそられるポイントもありつつ、あまり期待はしないように
劇場に向かいました。
そんな日本版RENTですが、結論から言いますと「想像以上に相当
良かった!!!!」です!!
日本人キャスト、頑張ってました。思った以上にクオリティーが
高かったです。
もう、序盤での「RENT(曲名)」の歌とパフォーマンスを観た
段階でめちゃくちゃ驚きました。「ここまで出来るんだ!」と。
曲中何度も鳥肌が立ちました。
その後の歌や演技も全般的に素晴らしかったです。
ミュージカルで英語の歌を日本語に訳して歌うと、結構イタイ感じに
なるケースも多いので、それがかなり心配だったんですが、
過去にやった日本版のRENTとは結構歌詞も変更してあったっぽくて、
まぁ過去の日本版RENTの日本語歌詞はほとんど把握してませんが、
今回観た印象としては、本来の英語詞の内容をなるべく忠実に
訳そうとするよりは、リズムを重視して意訳多め、そしてなんでも
かんでも無理に日本語にするんじゃなくて、英語詞のままに
してあるところも結構あって、わりと全体的に違和感なく聴くことが
出来ました。
キャストの方達も、日頃英語の曲を多く歌ってる方や純日本人では
ないキャストが増えてきたこともあってか、役の名前や英語の
言葉はちゃんと英語的な発音で歌ってくれていたので、それも
違和感なく聴けた要因だったかなと思います。
キャストによっては若干惜しいな~と思う人もいましたが、とくに
マーク役の福士誠治(「のだめ」でオーボエ奏者の黒木君やってた
人ね)、コリンズ役の米倉利紀、エンジェル役の中島卓偉、
モーリーン役のキタキマユが大健闘してたと思います。
ジョアンヌ役をやっていたフライドプライドのShihoに関しては、
この人は雰囲気も声質もまさにジョアンヌにピッタリだと
思っていたので、最初から全く心配してませんでしたが、まぁ
予想通り歌唱力は圧倒的でしたね。安心感が違う!って感じでした。
歌唱力で言うと、アンサンブルのElianaという方もさりげに
めちゃくちゃ上手かったです。
福士誠治のマークは、雰囲気も合ってたと思うし、ちょっと
母性本能をくすぐられる感じのカワイらしさも醸し出してて
個人的にグっときました。(笑)歌を聴いたのも初めてでしたが、
こんなに歌える人だったとは!とビックリ。
コリンズ役の米倉利紀は、最近はめっきり歌番組などでは
見かけなくなりましたが、路線的には久保田利伸系の本格派
でしたよね。さすがの歌唱力でした。
エンジェル役の中島卓偉もロック歌手として活動してる人
ですよね。たしかTAKUIの名でデビューして、途中で
中島卓偉に名義変更してたような。
こちらも何年か前はちょくちょく歌番組で見かけたけどな~
って感じで、久々にその姿を見ましたが、演技も歌も
良かったです。オカマっぽい振る舞いと喋り方が上手
でした。エンジェル役に関しては、私は映画版の印象が
強すぎて、エンジェルというとゴッツめのヴィジュアルを
イメージしてしまうのですが、中島卓偉は小柄で華奢な
感じだったので、パっと舞台に現れた時のインパクトには
少々欠ける感じではありましたが、役柄の雰囲気としては
コレはコレでアリかなーとも思いました。
思わぬ伏兵がモーリーン役のキタキマユ。
だいぶ前に、岡崎友紀の「ドゥーユーリメンバーミー」という
曲をカバーして、それが深津絵里などが出演していた
「カバチタレ!」というドラマの主題歌として使われ
結構ヒットしてたので、それでなんとなく覚えてる方も
いらっしゃるかなと思います。
この曲、数年前に某ドラム教室の発表会でのサポートの
お仕事で演奏したことがあったので、仕込みのために
結構聴き込んだ曲でもあったのですが、この曲でのキタキマユ
の歌は、ちょっと鼻に掛かった感じの柔らかめの声で、まぁ
どっちかというとアイドル系な感じだったので、そんなに
声にボリューム感もなさそうだったし、モーリーンの歌う
曲ってかなり難しいのに大丈夫なの?!?!って感じだった
のですが、意外や意外、「こんな風に歌える人だったんだ!」と
驚きました。
まぁ、本物と比べてしまうと歌唱力や歌の安定感、迫力などは
及ばない感じではありましたが、なんていうか、キャラクター
としてイイ味出してましたね。
自分なりにこの役をどう演じるのか?というのを、きっとものすごく
考え工夫してきたんだろうな~というのを感じました。
「一生懸命なんだけど、ちょっとおバカな感じ」というのが
上手く出せていたように思います。映画やブロードウェイでは
もっと大人っぽくキレイ系でまとまってた気がするのですが、
個人的にはキタキマユさんの演技というのは、この役の
キャラクターの本質というのを本場のキャスト以上に表現できて
いたのではないか?とさえ思えました。
旦那様も、今回いちばんツボだったのがキタキマユだったようで、
「ファンになっちゃいそう」と大絶賛しておりました。
対して、ちょっと残念だったのがロックシンガーであるロジャー役
を演じたRyohei。この方も数年前はちょくちょく歌番組で
見かけました。R&B系のシンガーだったと思いますが、舞台での
歌を聴いて「この人、こんな甘ったれ系ヴォイスだっけ?」と
思いました。決して悪くはないんですけど、ロックシンガーって
感じの声じゃないかな~…と。
たまにシャウトっぽく歌うところなんかは、すごく良い瞬間も
あったんですけどね。ちょっと声が甘すぎて物足りなさを
感じました。
ロジャー役はトリプルキャストだったみたいですが、他の
2名がどんな歌いっぷりだったのかが非常に気になるところ
です。
なんかロジャー役の人って、歴代のRENT日本版のキャストを
振り返ってもTMNの宇都宮さんだったり、韓流シンガーのK
だったりと、ソフトな声質の人が務めることが多かったみたい
なので、みんな歌手としては素晴らしいと思うけど、キャスティング
としてはどうなんだ?という感じがしますね。
日本人でロックな歌が歌える人材ってやっぱり少ないんですかねぇ?
そしてベニー役の白川裕二郎もちょっと物足りなかった一人かな。
声はなかなか良かったんですけどね。時折歌い回しが素人くさく
聴こえてしまう瞬間があったり、演技も他の役者さん達に比べると
若干ぎこちなさを感じました。
あと、ミミ役のJenniferもすごいインパクトがあったわけでは
なかったけれど上手かったです。ソニンの演じたミミも観て
みたかったな~。
それからブロードウェイ同様、バックバンドは舞台下手に
スタンバイして、こちらもまた素晴らしい演奏を聴かせて
くれました。
バンド演奏に関しては、以前見たブロードウェイ版名古屋公演
で観た演奏が職人魂溢れるめちゃくちゃハイクオリティーな
演奏だったんですが、日本人バンドも相当良かったです。
意外なことにブロードウェイで観たRENTでのバンド演奏が
いちばんザックリしてた印象でしたね。(笑)
そんなこんなで、思った以上に楽しめたし感動できた約3時間の
舞台でした。
キャスト・スタッフ全員がオリジナルの「RENT」に対して
リスペクトの念をしっかり抱きつつ、その中で自分たちなりの
オリジナリティーを追求しようという意気込みというか情熱が
舞台からものすごく伝わってきました。
日本版では泣けないかな~なんて思ってましたが、泣けましたね。(笑)
RENTというミュージカルは、NYを舞台にエイズや同性愛、ドラッグ
などの問題を扱いつつ、若者の友情や愛情、貧困や病気との
闘い、孤独、自分を表現する欲求などが表現された作品なのですが、
まぁ正直ストーリー自体にはいろいろツッコミどころは多いです。(^ ^;
作品のテーマ自体も、恐らく初演当時はかなり斬新なものだった
んだと思いますが、今の時代には決して新鮮なテーマとも
言えない感じだとも思います。映画や舞台で何度も観ていて
ストーリーの流れもわかっているので、話の筋に感動する!!
という場面はないっちゃぁないんですが、なんと言っても
劇中の楽曲が本当に佳曲揃いなんです。
曲の素晴らしさとキャストの歌から伝わってくるエネルギーで
泣けてしまうという感じです。こういうのが舞台の素敵なところ
かな~と思います。良い舞台だと、本当に舞台上からエネルギーの
塊みたいなものがグワァ~~っと飛んでくる感じがするのです。
音楽のみのライブとはまた違った感動が味わえます。
そして、この日の公演がRENTツアー全ての千秋楽でもあった
ということもあり、終演後はキャストを代表して福士誠治から
挨拶がありました。
で、最後にはRENTのテーマともなっている「NO DAY BUT TODAY」
というフレーズを観客も含めて全員で「一緒に叫びましょう!」
と言われて、全員で叫んで締めとなりました。(笑)
「No day but today」は直訳すると「今日以外の日はない」みたいな
感じになるかと思うんですが、要は「今を生きる」的な意味合いに
なります。
歌の中の歌詞にも出てきますが、「未来でも過去でもなく、
今この瞬間を精一杯生きる」という、ありがちと言えばありがち
ですが、とても素敵な言葉だと思います。
このミュージカルの存在を知って、このフレーズを知った当初は
それほどピンとはきてなかったんですが、年齢を重ねるほどに
ズッシリ来るんですよ、この言葉が。(苦笑)
実は、ちょっと恥ずかしながら、私たち夫婦の結婚指輪の裏側にも
この言葉が刻印してあったりします。(^ ^;
とくにこの1年は、事あるごとにこの言葉が頭をよぎってました。
なんていうか、20代の頃まではいろんなことが「初めてだ~」
という感覚だったのが、最近は何かにつけて「こういうこと
するのって、もうこれが最後なのかも…」と思うことが増えて
きたんですよね、急激に。なんだかいろんなことが確実に終わりに
向かってるなぁ~、みたいな。
もちろん、これから先も「初めて」のことは沢山あるのでしょうが、
それらの多くは「初めてでもあり最後でもある」ものになるのでは
ないかなーという気もして。
そう考えると、今この時に出来ることを確実にやっていくことの
大切さというのを切実に感じるわけです。
そういうのもあって、今年は今までの自分と比べると、時間や
チャンスを大事にしながら過ごせたかな、とちょっぴり思います。
あまりにストイックに時間のやりくりをしていくのは性格的に
無理ですが(^ ^; 極力後悔のない日々をこの先も送っていきたいもの
だなぁと思います。
そんなわけで、今回のRENT観劇で一応今年の観戦スケジュールは
終了。今年は本当に良質なものが沢山観られて満足です。
あとは今年残された自分の仕事を頑張るのみだな~。
年末に演奏の仕事も立て続けに入ってるので、まずは体調を
崩さないように気をつけま~す。
東京公演をやった後に地方公演というスケジュールで、名古屋は
それらの最後の地。二日間公演でしたが、千秋楽のチケットをゲット
しました。
そもそも「RENT」を知るきっかけとなったのは、数年前にやった
舞台のバックバンドのお仕事でした。
名古屋芸大出身(現役の子もいましたが)の美女軍団達で結成された
劇団の公演で、いろんなミュージカルナンバーを演奏したのですが、
その中でRENTの名曲「SEASONS OF LOVE」を知り、シンプルながらも
心を揺さぶるこの曲の素晴らしさに感動し、ミュージカル自体にも
興味を持つようになりました。
ちなみに、この仕事の時はギターは旦那様に担当してもらったので、
この仕事以来、二人揃ってRENTのファンに。
というわけで、千秋楽は昼間の公演のみだったため旦那様には有給を
取ってもらい、今回も二人で行ってきました。
今までに、RENTの映画版・ブロードウェイキャスト(と言っても
多分2軍チームみたいな方々だと思いますが)による名古屋公演・
そして2年前にNY旅行に行った時に本場ブロードウェイで観た
本物のRENT、と全てを夫婦揃って観ております。
…というのもあって、これらを観た上での日本版…というのは
正直かなり不安がありました。
本物を観てしまった後で、日本人キャストによる日本語に訳された
RENTを観て、「イイ!!」と思えるだろうか…?みたいな。
「この人がこの役やったら、どんな感じなんだろう?」と興味を
そそられるポイントもありつつ、あまり期待はしないように
劇場に向かいました。
そんな日本版RENTですが、結論から言いますと「想像以上に相当
良かった!!!!」です!!
日本人キャスト、頑張ってました。思った以上にクオリティーが
高かったです。
もう、序盤での「RENT(曲名)」の歌とパフォーマンスを観た
段階でめちゃくちゃ驚きました。「ここまで出来るんだ!」と。
曲中何度も鳥肌が立ちました。
その後の歌や演技も全般的に素晴らしかったです。
ミュージカルで英語の歌を日本語に訳して歌うと、結構イタイ感じに
なるケースも多いので、それがかなり心配だったんですが、
過去にやった日本版のRENTとは結構歌詞も変更してあったっぽくて、
まぁ過去の日本版RENTの日本語歌詞はほとんど把握してませんが、
今回観た印象としては、本来の英語詞の内容をなるべく忠実に
訳そうとするよりは、リズムを重視して意訳多め、そしてなんでも
かんでも無理に日本語にするんじゃなくて、英語詞のままに
してあるところも結構あって、わりと全体的に違和感なく聴くことが
出来ました。
キャストの方達も、日頃英語の曲を多く歌ってる方や純日本人では
ないキャストが増えてきたこともあってか、役の名前や英語の
言葉はちゃんと英語的な発音で歌ってくれていたので、それも
違和感なく聴けた要因だったかなと思います。
キャストによっては若干惜しいな~と思う人もいましたが、とくに
マーク役の福士誠治(「のだめ」でオーボエ奏者の黒木君やってた
人ね)、コリンズ役の米倉利紀、エンジェル役の中島卓偉、
モーリーン役のキタキマユが大健闘してたと思います。
ジョアンヌ役をやっていたフライドプライドのShihoに関しては、
この人は雰囲気も声質もまさにジョアンヌにピッタリだと
思っていたので、最初から全く心配してませんでしたが、まぁ
予想通り歌唱力は圧倒的でしたね。安心感が違う!って感じでした。
歌唱力で言うと、アンサンブルのElianaという方もさりげに
めちゃくちゃ上手かったです。
福士誠治のマークは、雰囲気も合ってたと思うし、ちょっと
母性本能をくすぐられる感じのカワイらしさも醸し出してて
個人的にグっときました。(笑)歌を聴いたのも初めてでしたが、
こんなに歌える人だったとは!とビックリ。
コリンズ役の米倉利紀は、最近はめっきり歌番組などでは
見かけなくなりましたが、路線的には久保田利伸系の本格派
でしたよね。さすがの歌唱力でした。
エンジェル役の中島卓偉もロック歌手として活動してる人
ですよね。たしかTAKUIの名でデビューして、途中で
中島卓偉に名義変更してたような。
こちらも何年か前はちょくちょく歌番組で見かけたけどな~
って感じで、久々にその姿を見ましたが、演技も歌も
良かったです。オカマっぽい振る舞いと喋り方が上手
でした。エンジェル役に関しては、私は映画版の印象が
強すぎて、エンジェルというとゴッツめのヴィジュアルを
イメージしてしまうのですが、中島卓偉は小柄で華奢な
感じだったので、パっと舞台に現れた時のインパクトには
少々欠ける感じではありましたが、役柄の雰囲気としては
コレはコレでアリかなーとも思いました。
思わぬ伏兵がモーリーン役のキタキマユ。
だいぶ前に、岡崎友紀の「ドゥーユーリメンバーミー」という
曲をカバーして、それが深津絵里などが出演していた
「カバチタレ!」というドラマの主題歌として使われ
結構ヒットしてたので、それでなんとなく覚えてる方も
いらっしゃるかなと思います。
この曲、数年前に某ドラム教室の発表会でのサポートの
お仕事で演奏したことがあったので、仕込みのために
結構聴き込んだ曲でもあったのですが、この曲でのキタキマユ
の歌は、ちょっと鼻に掛かった感じの柔らかめの声で、まぁ
どっちかというとアイドル系な感じだったので、そんなに
声にボリューム感もなさそうだったし、モーリーンの歌う
曲ってかなり難しいのに大丈夫なの?!?!って感じだった
のですが、意外や意外、「こんな風に歌える人だったんだ!」と
驚きました。
まぁ、本物と比べてしまうと歌唱力や歌の安定感、迫力などは
及ばない感じではありましたが、なんていうか、キャラクター
としてイイ味出してましたね。
自分なりにこの役をどう演じるのか?というのを、きっとものすごく
考え工夫してきたんだろうな~というのを感じました。
「一生懸命なんだけど、ちょっとおバカな感じ」というのが
上手く出せていたように思います。映画やブロードウェイでは
もっと大人っぽくキレイ系でまとまってた気がするのですが、
個人的にはキタキマユさんの演技というのは、この役の
キャラクターの本質というのを本場のキャスト以上に表現できて
いたのではないか?とさえ思えました。
旦那様も、今回いちばんツボだったのがキタキマユだったようで、
「ファンになっちゃいそう」と大絶賛しておりました。
対して、ちょっと残念だったのがロックシンガーであるロジャー役
を演じたRyohei。この方も数年前はちょくちょく歌番組で
見かけました。R&B系のシンガーだったと思いますが、舞台での
歌を聴いて「この人、こんな甘ったれ系ヴォイスだっけ?」と
思いました。決して悪くはないんですけど、ロックシンガーって
感じの声じゃないかな~…と。
たまにシャウトっぽく歌うところなんかは、すごく良い瞬間も
あったんですけどね。ちょっと声が甘すぎて物足りなさを
感じました。
ロジャー役はトリプルキャストだったみたいですが、他の
2名がどんな歌いっぷりだったのかが非常に気になるところ
です。
なんかロジャー役の人って、歴代のRENT日本版のキャストを
振り返ってもTMNの宇都宮さんだったり、韓流シンガーのK
だったりと、ソフトな声質の人が務めることが多かったみたい
なので、みんな歌手としては素晴らしいと思うけど、キャスティング
としてはどうなんだ?という感じがしますね。
日本人でロックな歌が歌える人材ってやっぱり少ないんですかねぇ?
そしてベニー役の白川裕二郎もちょっと物足りなかった一人かな。
声はなかなか良かったんですけどね。時折歌い回しが素人くさく
聴こえてしまう瞬間があったり、演技も他の役者さん達に比べると
若干ぎこちなさを感じました。
あと、ミミ役のJenniferもすごいインパクトがあったわけでは
なかったけれど上手かったです。ソニンの演じたミミも観て
みたかったな~。
それからブロードウェイ同様、バックバンドは舞台下手に
スタンバイして、こちらもまた素晴らしい演奏を聴かせて
くれました。
バンド演奏に関しては、以前見たブロードウェイ版名古屋公演
で観た演奏が職人魂溢れるめちゃくちゃハイクオリティーな
演奏だったんですが、日本人バンドも相当良かったです。
意外なことにブロードウェイで観たRENTでのバンド演奏が
いちばんザックリしてた印象でしたね。(笑)
そんなこんなで、思った以上に楽しめたし感動できた約3時間の
舞台でした。
キャスト・スタッフ全員がオリジナルの「RENT」に対して
リスペクトの念をしっかり抱きつつ、その中で自分たちなりの
オリジナリティーを追求しようという意気込みというか情熱が
舞台からものすごく伝わってきました。
日本版では泣けないかな~なんて思ってましたが、泣けましたね。(笑)
RENTというミュージカルは、NYを舞台にエイズや同性愛、ドラッグ
などの問題を扱いつつ、若者の友情や愛情、貧困や病気との
闘い、孤独、自分を表現する欲求などが表現された作品なのですが、
まぁ正直ストーリー自体にはいろいろツッコミどころは多いです。(^ ^;
作品のテーマ自体も、恐らく初演当時はかなり斬新なものだった
んだと思いますが、今の時代には決して新鮮なテーマとも
言えない感じだとも思います。映画や舞台で何度も観ていて
ストーリーの流れもわかっているので、話の筋に感動する!!
という場面はないっちゃぁないんですが、なんと言っても
劇中の楽曲が本当に佳曲揃いなんです。
曲の素晴らしさとキャストの歌から伝わってくるエネルギーで
泣けてしまうという感じです。こういうのが舞台の素敵なところ
かな~と思います。良い舞台だと、本当に舞台上からエネルギーの
塊みたいなものがグワァ~~っと飛んでくる感じがするのです。
音楽のみのライブとはまた違った感動が味わえます。
そして、この日の公演がRENTツアー全ての千秋楽でもあった
ということもあり、終演後はキャストを代表して福士誠治から
挨拶がありました。
で、最後にはRENTのテーマともなっている「NO DAY BUT TODAY」
というフレーズを観客も含めて全員で「一緒に叫びましょう!」
と言われて、全員で叫んで締めとなりました。(笑)
「No day but today」は直訳すると「今日以外の日はない」みたいな
感じになるかと思うんですが、要は「今を生きる」的な意味合いに
なります。
歌の中の歌詞にも出てきますが、「未来でも過去でもなく、
今この瞬間を精一杯生きる」という、ありがちと言えばありがち
ですが、とても素敵な言葉だと思います。
このミュージカルの存在を知って、このフレーズを知った当初は
それほどピンとはきてなかったんですが、年齢を重ねるほどに
ズッシリ来るんですよ、この言葉が。(苦笑)
実は、ちょっと恥ずかしながら、私たち夫婦の結婚指輪の裏側にも
この言葉が刻印してあったりします。(^ ^;
とくにこの1年は、事あるごとにこの言葉が頭をよぎってました。
なんていうか、20代の頃まではいろんなことが「初めてだ~」
という感覚だったのが、最近は何かにつけて「こういうこと
するのって、もうこれが最後なのかも…」と思うことが増えて
きたんですよね、急激に。なんだかいろんなことが確実に終わりに
向かってるなぁ~、みたいな。
もちろん、これから先も「初めて」のことは沢山あるのでしょうが、
それらの多くは「初めてでもあり最後でもある」ものになるのでは
ないかなーという気もして。
そう考えると、今この時に出来ることを確実にやっていくことの
大切さというのを切実に感じるわけです。
そういうのもあって、今年は今までの自分と比べると、時間や
チャンスを大事にしながら過ごせたかな、とちょっぴり思います。
あまりにストイックに時間のやりくりをしていくのは性格的に
無理ですが(^ ^; 極力後悔のない日々をこの先も送っていきたいもの
だなぁと思います。
そんなわけで、今回のRENT観劇で一応今年の観戦スケジュールは
終了。今年は本当に良質なものが沢山観られて満足です。
あとは今年残された自分の仕事を頑張るのみだな~。
年末に演奏の仕事も立て続けに入ってるので、まずは体調を
崩さないように気をつけま~す。