最近読んだ本で、この本がとても良かったです。

「ようこそFACT東京S区第二支部へ」

 

 

昨年NHKでアニメ放送されたヒット漫画

「チ」の作者魚豊氏が「チ」の後に描いた漫画で全4巻完結です。

2024年の3月まで連載されていました。

 

「チ」の作者らしい作品です。

「チ」を読んでなくても十分楽しめますが

「チ」を読んでからだと感慨深いです。

 

「チ」も「FACT」も

自分が生を受けた時代、社会で

常識を超えた真実を求め

生きる意味を見出す人間ドラマです。

 

「チ」の時代だったらすぐに捕まって

拷問にかけられて死刑にされますが

現代社会は優しいので

主人公が最初から最後まで変わらずに

物語が完結します。

 

いい時代になったなー

いや、それはそうなのですが

時が経つにつれて自然にいい時代になったのではなく

歴史に名前は残っていないけど

人生をかけて次代を変えるような

理想の実現に頑張った人々がいたから

優しい時代になっていったのだと思います。

 

そしてそれは普遍ではなく脆い優しさであります。

 

現代社会もまだまだ十分酷くて

「FACT」は四民平等の中の格差社会での虚しさや惨めさ

誰も何も信じられなくなりそうな情報社会がよく描かれています。

陰謀論とか自己啓発系セミナーとか
まさしく現代日本!

 

「FACT」は

主人公が痛すぎて見てられないのに

心配すぎてページを捲る手が止まりませんでした。

一気に読めて、最後の方は泣けました。

キャラの成長は感動的です。

 

ヒロインがいい娘で、まるで少女漫画の主人公のようです。

それに対して主人公が冴えないのですが

冴えないが故に共感できるし応援したくなります。

主人公は頑張り屋で善良でいい男なんですよ。でもモテない。

 

この主人公で今の日本を表現しているだけでも

今まさに読むべき作品だと言えます。

しっかりハラハラドキドキさせられるエンタメ作品です。

読んで充実した時間を過ごせたと感じました。