テーマ「今、改めて”社会保障”について考える」
豊中市庁舎の会議室で、約40名が参加。
第一部は木下秀雄さん(市立大学大学院研究科教授)
「日本の社会保障~歴史と現在、そしてこれから」
日本における社会保障の意義、「権利としての社会保障」について、
生活保護が受給できずに(または受給せずに)餓死や孤立死するケースは
珍しい事象ではなくなってきたように思います。
社会全体の中の「財源」と「税」または「保険料」として徴収された「財源」の中から
どのように「社会保障財源」に充てていくのか。
社会保障のあり方を北欧型かアメリカ型か、どちらを選択していくのか、
かつての「企業福祉」が壊れ、「家族負担」の限界があるなかで
具体的にどのような社会保障政策を選択していくのか、問われています。
第二部は介護保険制度の課題について
第三部は「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」をテーマに
①「生活保護~その制度と実態」
講師:小久保 哲郎さん(弁護士)
②「豊中市の取り組みについて~パーソナル・サポート事業を中心に」
講師:西岡 正次さん(豊中市市民協働部理事)
勝部 玲子さん(豊中市社会福祉協議会)
生活保護をめぐっては、不正受給がクローズアップされることが多い。でも、
不正受給世帯は1.54%にすぎません。
1.5%を見逃せという意味ではありませんが、
そのために98.5%の本当に必要としている人たちや、
受給をためらう人たちの問題を冷静に考えなければならないと思います。
生活保護受給者の割合(保護率)は、(1995年)の0,7%に対し
2011年7月は1.6%で、ピーク時(1951年)は2.4%でした。
年々増加傾向にあるものの、受給者の割合は、他国と比べて格段に低い、とのことです。
ちなみにドイツでは9.7%、フランス5.7%、イギリス9.27%
スウェーデンでは4.5%です。
他国と比べても日本の保護率は非常に低いという数値になっています。
非正規雇用の増加で、失業保険が受給できず、
実際に失業者の2割しか保険が機能していないというデータもありました。
就職活動や生活再建などの「敗者復活」が可能となる制度設計が必要であると痛感します。
これから少子・超高齢社会が進み、単身世帯も増え続けます。
自立と共生の社会、まちづくりが急務です。
パーソナル・サポート事業については、豊中市はずいぶん進んでいると感じました。
「ハローワークは、仕事を斡旋するが、就労支援は行わない」
就労支援としてハローワークにつないでいる、という箕面市の行政の説明を
しばしば聴いていた私にとっては、ある意味カルチャーショックでした。
行政にできない支援を民間団体が担い、
身を粉にして向き合う姿勢には脱帽。
箕面の取り組みについて、大きなヒントをいただきました。