ひとつの時代の終焉のような・・・
学生の頃といえば、
大江健三郎、高橋和巳、鶴見俊輔、と並んで吉本隆明があげられる。
難解なところがあったけれど、
とにかく誰もが少なからず読んでいたように記憶しています。
ちょうど、大学に入学したころ、「知識人論」という
ユニークな総合講座があって、
文学部の各学科の先生がそれぞれの専門分野から、
「文学を社会にどう活かすのか?」
「知識人の役割とは?」
などと学生に問いかけながら講義が進むという
とても楽しみな授業でした。
後にも先にも、
このような講座はこの年だけだったように記憶していますが・・・
なにぶん30年以上も昔のことなので、
違っていたらご容赦を。
その後、学費値上げ問題を契機に
宇井純さんらの公開自主講座や「大学解体論」などを
時間をかけて議論することになり、
あらためて「学問は何のためにあるのか」
をじっくり考える機会を得ました。
さて、吉本隆明さんの近年については、
ほとんど知りませんでしたが、
懐かしいような、
ひとつの時代が逝ってしまったような、妙な寂しさを覚えます。
時代は変わり、人々の価値観も社会を反映してある程度変容するでしょう。
いまや若い人たちにとっては歴史観さえも異なっているかもしれません。
今や、情報収集や発信は、はるかに便利になりましたが・・・
向き合って熱く語ることもあるのかなぁ?
もっとも、学問や文学が社会変革にとってどうあるべきか、
とかの議論よりも、
せっかく高等教育を受けたのに、就職できない!
という課題の方が、切実すぎて(それどころじゃない)かも。
80年代以降の吉本隆明に対しては、辛口の論評が多いようで
「原発」については、とうてい納得できませんが・・・
「1億総中流意識」を持てた時代が、
今と比べて総論的には「よき時代」だったといえるように思います。
時代を受け止めつつ、どのような変革を目指すのか・・・
時間ができれば近著を読んでみたいと思っています。