問われる「政策理念」と弱者への配慮。
国保の赤字のしわ寄せを中・低所得者に負わし、高額所得者は痛みなしという不平等は絶対おかしい!!
「累積赤字30億円を何とかしなければ」ということで、市長から国保運営審議会に見直しについて諮問されました。
この日はその2回目で、事務局から様々な提案と試算した資料が提出されました。
日常の業務をこなしながら、短期間での資料作成は大変だったろうと思います。
しかし、提案の大半は理念がなく、また将来的な影響をまったく考慮しない机上の空論でした。
減免制度の見直しや保険料の値上げを中・低所得者にしわ寄せし、高額所得者は影響なし、という不平等な内容となっています。
◆市民部国保年金課の提案(見直し案)
①収納対策の強化(保険料の回収)
②保険料の見直し
③市の独自制度の見直し(サービスの縮小)
②では、保険料収入を3億円アップ、6億円アップの2パターンを提案
●3億円のアップでは、
・年収が208万円という世帯が最も多く5万円~6万円の負担増となる。
・2人世帯で年収400万円では、8万円の増加
・2人世帯で年収750万円では、約1万円の減額!
・750万円以上のほとんどが、増減なし(増額は0円!)
という試算状態となっています。
年収1000万円を越す世帯は534世帯。
6億円のアップでは、さらに中・低所得者層を圧迫することになります。
(高額所得者は無傷)
こんな不平等、非現実的な思索を「高額所得者の上限は国が決めたことだからしかたない」
と言い切れる感性がまったく理解できません。
ちなみに、行政から(箕面市から)国に対しこの「上限撤廃・完全所得割」を要望したことはない、ということです。
不合理な法律は地方から正していくべきで、理に合わない法の下で、弱者い負担を強いるのは自治体の責任を放棄していることになります。
政策は、市民の生活実態と、数年後~10年後、20年後など未来に及ぼす影響を十分考慮して提案・実行されなければなりません。
過去、潤沢な財源が確保できた頃に、箱物をたくさん作ったあげく、今はその維持管理で厳しくなっているなかで、先を見越した計画が重要であることを学んだはずではなかったか。
まったく無反省のうちに今後の計画を立てようとするから、このような提案が出てくるのだろうと思います。
行政の仕事は、市民が健康で文化的に暮らせるように配慮するべきで、自治体が赤字になるからと言って、市民の生活を破綻させてはいけない。
行政が真っ先に行うべきは、「無駄使いをなくす」ことであり、
絶対に必要なものと、無くても困らないものの、優先順位を見極めて区分することです。
とりわけ昨今は金融不安から経済が低迷し、失職や倒産、収入のダウンや将来不安で、消費も落ち込んでいます。
今こそ、自治体は住民の暮らしに配慮し「元気な市民」を増やし、「活気あるまちづくり」に投資しなければなりません。現状の生活を圧迫し、健康への配慮を摘んでしまえば、たちまち将来の医療費や介護保険等の財政支出は増えるでしょうし、自立も抑制されるでしょう。また、消費活動も低迷します。目先の赤字解消策が子の世代にとんでもない負のスパイラルを及ぼすことになるのです。
何という浅はかで無責任なことか。
しかも高額所得者層は無傷というバランスの悪さ!
お金持ちを優遇し、貧乏人は「嫌なら出て行ってください」と言わんばかりの政策は、
結局は人の痛みが分からない、温もりのないまちへと変貌してしまいます。
「箕面市は財政再建団体に陥る」と口癖のようにおっしゃる市長ですが、
「財政再建団体」になると国基準のサービスしか受けれらない、ということになります。
赤字を解消するために、今から国基準のサービスにとどめた、いわゆる「財政再建団体」並みの自治体サービスにしてしまおう、という政策はやっぱりおかしいと思います。
もし、仮に「再建団体」の一歩手前という最悪の状態ならば、
彩都の学校建設や北大阪急行の延伸などはずっと後回しにするべきでしょう。