柳沢厚労大臣の発言をめぐって | ■tomoko blog

■tomoko blog

中西とも子の日々の活動や、思い、お知らせをタイムリーにブログで発信します。

柳沢発言とそれを擁護する自民党・安倍政権は一心同体。

「産む機械」「1人頭でがんばってもらう」「二人産みたいのは健全」・・・これらの発言に込められた「少子化対策の理念」の根本的なまちがいについて、しっかり糾しておかねばならいし、その理由ゆえに、柳沢厚労大臣はその職にふさわしくなく、また彼を執拗に擁護する安倍内閣もまた存続に値しない。

どのような位置づけで少子化施策を考えるのかは、とても大事なこと。今度の件を契機に前向きな議論の場としていきたい。

●柳沢発言が内包する、少子化理念の問題点

①女性は「産む機械」と人間を機械に例え、生殖機能を「装置」と言い換えるのは「生産ロボット」的扱いをおこない、生命の尊厳・個人の尊重という視点よりも国家経済や社会保障制度を維持するための道具とみなす人権意識が著しく欠落した発想である。また、生産能力がない人間には価値がないとする思想であるため、女性のみならず高齢者や障がい者に対する価値観として反映される危険性をもはらんでいる。

②女性を「産む道具」としかみておらず、「産むのがあたりまえ」「産まない女は役立たず」という女性蔑視(差別)観に基づいている。産まない女性を多様な生き方のひとつとして尊重する視点がなく、産めない女性、不妊治療に苦しむ女性に対する支援や配慮も見えない。また、これは性的マイノリティの生き方をも否定的に扱うものであり、結婚しない、出産しないのは「不健全」であるかの固定観念に基づく少子化対策はこれまで築きあげてきた男女協働参画理念を著しく後退させるものであり、看過できない。

③産む・産まない(性と生殖に関わる決定)は当事者が決めることであり、国家や他者が強制的に迫るものではない。個人が安心して自己決定できるための情報提供と環境の整備が保障されるべきものである。

④出産・子育てができる環境(労働時間・賃金保証・保育・経済支援・相談体制の充実など)を整備することと、生まれてきた子どもに平等の機会があたえられ、健やかに育つ権利を保障していくことが少子化対策である。このことを抜きにして「結婚しない、子どもを持たないのは不健全」とする概念は本末転倒である。

以上のことから、このたびの柳沢発言が問題であることはいうまでもないが、このような発言がたびたび繰り返されること、およびそのような大臣を任命し、なお存続させようとすることは、安部内閣も同様の考え方であるということである。このような視点、理念で少子化対策や労働・福祉施策に取り組む部局の大臣としてはふさわしくなく、即刻辞職されるべきだろう。