友野雅志の『Tomo俳句』 -8ページ目
葡萄青い星それぞれ隠しおる
青い記憶のまま葡萄もがれたり
ふところに葡萄隠してまくらもと
葡萄噛む口一日の重さあり
葡萄剥く光うまれる暗さかな
夕焼けが路地駆けぬけて胸あつし
靴止まる夕焼け鳥と飛びたくて
夕焼けに苺クリーム溶けて来る
夕焼けに列車の音八分音符
夕焼け挟んだ日記煙草すいこむ
身爽やか忌日の風にあらわれて
闇すべて地に沁みた朝爽やかさ
鳶ちぎり空爽やかに吹かれゆく
きみの背の透ける道爽やかたどる
重ねし暦の爽やかに吹かれおり
桃割れど生まれる子なし月見えず
赤いミニ桃の白切るイタリアン
桃固し忌日のひとに切りわたす
桃を蟻が這っている救急車
流星のごと桃に傷腿にキス
電線鳴る蝉の地から聞こえくる
蝉の声の細さよ卒塔婆の列
蝉ひきづられアボカドサラダ掬う
シッ夜耳奥で鳴っている蝉の声
赤日傘蝉のどしゃ降り回りゆく
野分に黙りくだかれただ立てり
野分爪青も傷のみ地に空に
歩けばちりぢりの地図野分跡
野分の夜闇集まりて駆けぬける
野分下天と地息をとめている
摺りあしの服擦れている盆休み
動かぬ盃に盃合わせ盆休み
盆休みパシフィック渡る茜雲
天のラッパ足とまりたる盆休み
帰る道たどれぬままに盆休み
敗戦日タバコ一本に神霞む
敗戦日ハンバーガーの汁溢れ
しかたなし神おおらかに敗戦日
敗戦日裂かれた魚の風にゆれ
敗戦日空閉じて地水に沈む
濡れた髪カレーの国の雲のごと
雷や髪おおうスカーフ黄色
夕立や髪にからむ煙の青
虹色のヒール手に髪かきあげる
夏の風髪乾くまで神田川
胸にキス柘榴味する夕暮れよ
アイスティー胸の形に透きとおり
烏賊釣れば胸裂く記憶列をなし
胸のなか西茜見し帰り道
胸ひろげ蝶の少女のほそい腕

